ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「元加治駅」編

ラビング散歩 西武池袋線「元加治駅」周辺は入間川に近い静かな住宅街。
駿河台大学の学生がスクールバスでキャンパスに向かう

イワタハルユキ

西武池袋線の元加治(もとかじ)駅は埼玉県入間市野田にある駅(駅番号SI25)です。開設されたのは大正7年(1918)、もともとは貨物駅でしたが大正15年(1926)に旅客駅となりました。
最近のことですが令和6年(2024)に無人駅となり、隣の飯能駅と通信で結ばれています。この元加治駅は駿河台大学へのアクセスポイントとしてスクールバスが運行されています。

 

元加治駅の外観<元加治駅の外観> 明るい改札口<明るい改札口>
 元加治駅に降り立って気づいたのは、改札口が1か所しかないこと。プラットホームから階段またはエレベーターで跨道橋を渡り、北側にある駅舎から出入りします。改札口付近は天井からの採光性がよく明るさが確保されています。無人駅(遠隔対応駅)ですから駅員はいないし、窓口で切符も売っていないのですが、駅の利用者は特に不便を感じていないようです。
元加治駅の島式ホーム<元加治駅の島式ホーム>
改札を出て目につくのは駿河台大学の学生や関係者に向けた道案内です。ここから徒歩でキャンパスに向かう人や、スクールバスを利用する人に対してわかりやすく案内が書かれています。
駿河台大学へのルート案内<駿河台大学へのルート案内>

元加治駅前ロータリーには入間市のおとなり飯能市が運営する「乗り合いワゴン」の停留所(元加治駅:40番)があります。通称は「おでかけむーま号」。加治駅に乗り入れているのは加治コース16kmを走る路線。地域の貴重な移動手段となるコミュニティバスです。利用の際は飯能市のホームページで路線や時刻表を確認することをおすすめします。なおロータリーにはタクシー乗場もあります。

 駅前に立って周囲を見まわすと観光案内の看板がありました。タイトルは「水辺の小径を訪ねるコース」です。元加治駅と飯能駅周辺の散策スポットをイラストで紹介しています。それを眺めていると入間川がこの地域にいかに大きなインパクトを持っているかがわかります。マップには神社仏閣、名所旧跡、公園、散策路などが描かれています。このイラストのような散歩道を探して歩いてみたくなりました。

観光案内の看板<観光案内の看板> 乗り合いワゴン停留所<乗り合いワゴン停留所>

また駅前には「元加治駅自転車駐車場」があり、多数の自転車が置かれていました。通勤・通学をはじめとする日常の自転車利用が盛んなことが感じられます。更に飯能方面にある踏切の向こう側に「元加治駅南自転車駐車場」があり、自転車のために広い敷地が確保されています。

元加治駅前自転車駐輪場<元加治駅前自転車駐輪場>
駅の近くにある路地にコインパーキングがありました。改札口から歩いて約1分の好立地でありながら24時間最大600円というのはうれしい料金です。
駅から1分のコインパーキング<駅から1分のコインパーキング>
元加治駅前に商店街や繁華街はありませんが飲食店やベーカリーが営業していました。通勤帰りのサラリーマンがお酒を楽しむのに手頃なお店もありました。
駅前の商店や飲食店<駅前の商店や飲食店> ベーカリー<ベーカリー>
 
 

ラビング散歩 飯能方面にある踏切を渡って歩いてみる

元加治駅の改札口を出てしばらく左に進むとちいさな踏切があります。この踏切を渡って歩いてみると住宅街のなかにお店や施設が点在していました。地元らしさ満載のタクシー会社、きれいな歯科医院、信用金庫の店外ATM、放課後デイサービスなど、地域密着の雰囲気が漂っています。
踏切から見る駅と山稜地帯<踏切から見る駅と山稜地帯> タクシー会社<タクシー会社>
歯科医院<歯科医院> 信用金庫店外ATM<信用金庫店外ATM> 放課後デイサービス<放課後デイサービス>
 
 

ラビング散歩 池袋方面の踏切を渡って歩いてみる

次は改札口を出て池袋寄りにある踏切を渡ってみます。すぐに圓照寺というお寺があります。真言宗智山派のお寺で正式名称は「光明山正覚院圓照寺」というそうです。創建は元久1年(1205)とのこと。ここには国の指定重要文化財の板碑が収蔵されています。また池のほとりに建つ不動堂も貴重な歴史的建造物です。

圓照寺本堂と鐘楼<圓照寺本堂と鐘楼> 圓照寺不動堂<圓照寺不動堂>

圓照寺を背にして入間川方面に歩を進めるとコンビニエンスストアがあります。駅の近くでは唯一のコンビニなので地元住民にとっては大事な存在だと思います。この先に進むと上橋(かみばし)と大ケヤキです。

駅に近いコンビニエンスストア<駅に近いコンビニエンスストア>

入間川に架かる上橋は全長80.34m。欄干の形状など意匠に工夫を凝らし、周囲の景色に溶け込むよう造られたそうです。橋の中央に見晴らし台が設置されているのも特徴。橋の袂には大ケヤキが雄姿を見せています。なおケヤキは入間市の木に指定されています。

<大ケヤキ>20250508撮影<大ケヤキ>
入間川の遊歩道<入間川の遊歩道> 入間川を一望できるカフェを発見<入間川を一望できるカフェを発見>

先ほどの踏切に戻って歩き回ると、中華料理店、中古エアコン専門店、合気道道場などが混在しているビルを発見。それぞれの店内を見ながら歩くのも楽しみです。おとなりには洋菓子のお店がありました。

 いろいろな業種が混在するビル
< いろいろな業種が混在するビル>
洋菓子のお店<洋菓子のお店>

入間川の河川敷はあまりに有名ですが対岸から見ることはあまりないと思います。入間市のグラウンンドからの眺望は壮観です。

入間川河川敷の桜を対岸から見る02<入間川河川敷の桜を対岸から見る> 入間市グラウンド<入間市グラウンド>

 入間川に注ぐ小さなせせらぎに沿って北へ歩いてみました。このあたりは団地やマンションが多く静かな住宅環境です。住民が熱心に世話をしているのでしょうか、きれいな花の咲く風景がよく見られます。

元加治団地の花壇<元加治団地の花壇> 住宅街に咲く菜の花<住宅街に咲く菜の花>
 住宅街の急な坂を登ったところに小さな神社が見えました。階段を上っていくと数人で一杯になってしまうほどの小さな境内があり、そこに御嶽神社が鎮座していました。この神社は木曽御嶽山信仰によるもので明治時代はじめから地域の人々に熱心に護持されてきたといいます。諸般の事情で昭和53年(1978)に現在地に遷座して現在に至ります。
御嶽神社<御嶽神社>

次に訪れたのは白髭神社です。こちらは広々とした境内を持つ風格のある神社で、創建は鎌倉時代の寛元元年(1243)とのことです。主祭神は猿田彦之命(サルタヒコノミコト)で交通安全の神徳ありとされています。また天孫降臨の際に邇邇芸命(ニニギノミコト)の道案内をしたという伝説があります。

白髭神社<白髭神社>
 このあたりで方角を戻して元加治駅に戻ることにします。実はさらに北へ向かえば国道299号線に出るのですが、徒歩では少々遠いのでクルマのある人はドライブしていただくとよいでしょう。付近の国道299号線には次のようなロードサイド型のお店が集まっています。日本料理店、ファミリーレストランチェーン店、牛丼店、衣料品店、コインランドリー、デンタルクリニックなど。もしも病気や事故の場合は隣町の仏子(ぶし)に西武入間病院があります。国道299号線をクルマで探索するのも楽しいと思います。

 

さて話題を元に戻します。元加治駅に戻る途上で稲荷神社に出会いました。ありふれた住宅街の片隅にある神社ですが、稲荷神社ですから五穀豊穣の神徳があると思われます。こういう身の丈サイズの神社が元加治駅周辺の住宅街には多いと感じます。昔からの信仰心の名残なのでしょうか。

稲荷神社<稲荷神社>
線路際の道路に戻りました。さきほど歩いた時には気がつきませんでしたが、道筋にはときおり家業風の居酒屋が目立ちます。夕方になるとやはり住まいに帰るサラリーマンが多く見受けられます。
駅近くの居酒屋<駅近くの居酒屋>
元加治駅の南側にはバスターミナルが見えますが、これは駿河台大学のスクールバス専用の施設だそうです。大学関係者以外は原則として立ち入れないとのこと。学生たちは駅の北側にある改札口を出て踏切を渡り、ぐるりと回ってバスに乗ります。すこし遠回りな気もしますが、のどかな雰囲気が漂います。元加治のまちの静けさと似合っているのではないでしょうか。ということでラビング散歩、今回は元加治駅周辺を歩いてみました。
駿河台大学スクールバスターミナル<駿河台大学スクールバスターミナル>
 
 

ラビング散歩 元加治駅周辺まとめ

西武池袋線元加治駅は入間市駅と飯能駅の間に位置する遠隔対応駅(無人駅)。近くを入間川が流れ、緑の多い静かな環境です。丘陵地帯では野生のカモシカやイノシシが目撃されるなど豊かな自然が残ります。

駅のまわりは古くからの住宅街ですが建て替えたばかりの新しい家もよく見かけます。街なかにはカフェなどの飲食店が点在し、個人経営のお店が多く、温かい雰囲気の街です。水と緑に囲まれて静かに暮らしたい自然派志向の方に最適な環境です。

 

取材・文・写真/イワタハルユキ

 

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