ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「西武球場前」駅編

ラビング散歩 野球と観光の拠点「西武球場前駅」から、丘陵地帯の住宅街を散策。

西武球場前駅は西武狭山線と西武山口線(レオライナー)の終点駅。開業したのは昭和4年(1929)で、最初の駅名は村山公園駅でした。その後、村山貯水池際駅(むらやまちょすいちぎわえき)、村山駅、狭山湖駅と名称変更され、プロ野球パシフィックリーグに西武ライオンズが誕生するのを機に、昭和54年(1979)、西武球場前駅という駅名になりました。現在、周辺はドームを中心にスポーツ&レジャーのスポットになっています。
改札口<多くの乗降客に備える広い改札口>
 

ラビング散歩 メットライフドームと周辺施設

西武球場前駅は野球の試合やコンサートなどがある日は大変混雑します。ドームの最大入場者数は31,552人で、その多くが電車を利用するわけですから当然でしょう。駅のプラットホームや改札口はかなり広めに造られています。
駅を出ると目の前に巨大なドームが現れます。これが西武ドームですが、現在はネーミングライツでメットライフドームと呼ばれています。言うまでもなくプロ野球パシフィックリーグ「埼玉西武ライオンズ」のフランチャイズ球場です。

※西武ドームは2022シーズンより新たなネーミングライツ(命名権)としてベルーナとパートナーシップを結ぶことが決まり、2022年3月1日より「ベルーナドーム」に名称が変更になりました。(2022.03.26追記)

メットライフドーム<メットライフドーム>
メットライフドームの敷地内にはCAR3219フィールド(西武第二球場)、チームストア フラッグス(展示とグッズ販売)、狭山スキー場(スキー・スノーボード)、西武ドームテニスコートなどが整備されています。また街道をまたいで季節限定開館の「ところざわゆり園」があり、いずれも駅近で便利なスポットです。 チームストア フラッグス<チームストア フラッグス>

ドームのまわりをチェックしたら、敷地を出て多摩湖(村山貯水池)方面へ向かいましょう。しばらく歩くと左手に球団の通用口があります。この奥には寮があるためランニングに出掛ける若手選手を見掛けることがあります。また合同練習や二軍の試合がある日などはコアなファンがお気に入りの選手を待ち構えています。

球団の通用口<運がよければ若手選手に会えるかも>
 

ラビング散歩 多摩湖のほとり

湖方面にしばらく歩くと多摩湖北交差点に出ます。その先は景色のよい多摩湖橋と湖畔ですが、現在、多摩湖はダム改修工事で少し残念な景観になっています。それでも湖の中ほどまで歩いて晴れた日のさわやかな風景を眺めると気分爽快です。
改修工事中の多摩湖<改修工事中の多摩湖>

多摩湖北交差点の角には慶性門という建築物が建っています。これは貯水池が建設された際に移転した慶性院というお寺の山門で、そのまま湖畔に取り残されましたが、昭和29年(1954)に地元有志の善意により修復され、現在地に移転されました。この山門は調査によれば文久元年(1861)に建築されたもので、寺院の門にしては珍しい長屋門形式の山門だとのこと。当地を歩いたときにはぜひ観察したい歴史的建造物です。

保存された慶性門<保存された慶性門>
 

ラビング散歩 山口観音と不動寺に参拝

慶性門から山口観音方面に至る道は丘陵地帯で起伏があります。途上には高照院、金乗院墓地、開山堂などがありますが、公園のような明るい道です。北に進むと山口観音で知られる金乗院が見えてきます。山口観音の前には地元名物の観音茶屋があり、焼きだんごなどの軽食が楽しめます。また周囲には料亭やレストランも営業しています。

丘陵地帯<起伏のある丘陵地帯> 観光旅館<観光旅館> 料亭や飲食店<料亭や飲食店も多い>

金乗院(山口観音)は真言宗豊山派の寺院です。奈良時代、当地で行基が観音像を彫刻して祀ったのがはじまりとされ、その後、平安時代に弘法大師空海が寺院を開創したと伝えられています。本堂の他に仁王門、大日堂、弁天池など見どころが多いお寺です。

山口観音<山口観音 手水場も重厚感あり>
山口観音の隣にあるのが狭山山不動寺です。こちらは不動明王が本尊で、悪鬼を払い、善に報いる仏様といわれています。比較的新しいお寺で、開山が昭和50年(1975)4月、新本堂建立が平成13年(2001)12月。境内には国指定重要文化財などの建造物が多く見られ、祈祷などの年中行事も盛んに行われています。
狭山山不動寺<狭山山不動寺>

不動寺を背にしてドーム方面に出ると「ところざわのゆり園」があります。ここは約3万平方メートルの自然林に50種・約45万株のゆりが咲くエリアです。オープンは毎年5月下旬から7月中旬ですが、正確な開花情報は、ゆり園のホームページでご確認になることをおすすめします。

https://www.seiburailway.jp/guide/rec/yurien/

 メットライフドームの付近にはコンビニ、レストラン、カフェなどが点在し、気軽に買物や休憩ができます。クルマ利用の場合、ドームが運営する3か所の駐車場は1日1,800円が相場ですが、近くには地元民が開設している駐車場もあり、すこし遠い所を探すと安い穴場もあるようです。

コンビニとレストラン<コンビニとレストラン>

ラビング散歩 閑静な住宅街を歩いてみる

さて観光化されていない住宅街を歩いてみるのも楽しいものです。
西武球場前駅を暮らしの最寄り駅としている住民もいることを再確認してみましょう。まず線路に沿って下山口方面に歩いてみます。ところどころにボランティアが植えた季節の花々が咲いていました。高架になった線路のガードをくぐり、静かな住宅街に足を踏み入れます。
地元ボランティアによる花壇<地元ボランティアによる花壇>
ガードをくぐった右手には急な坂があり、そこを上っていくと狭山湖畔霊園がありました。名前を聞いたことはありますが、ここにあるとは知りませんでした。礼拝堂や休憩所のあるきれいな霊園です。驚いたことに、この霊園にはシンガー&ソングライターの尾崎豊が埋葬されているとのこと。お墓の詳しい場所はよく調べるとインターネット上で公開されていますが、ここでは念のため詳細な情報掲載は控えておきます。どうぞ安らかにお眠りいただきたいと思います。
狭山湖畔霊園<尾崎豊が眠る狭山湖畔霊園> 高台から所沢市街を望む<高台から所沢市街を望む>
狭山湖畔霊園の石垣に添って地蔵峰公園が細長く続き、その向こう側は落ち着いた住宅街という風景が広がります。このあたりの住宅街はユネスコホームランド自治会という名称です。西武球場前駅が狭山湖駅という名称だった頃、駅前にユネスコ村というレジャー施設がありました。それがネーミングに使われたのだと思われます。高台のせいか静かで陽光のあふれるエリアでした。
地蔵峰公園<地蔵峰公園>
次は霊園のある高台から下り、ごく普通の住宅街を散策してみました。建て替えの時期だったのでしょうか、きれいな家が多く、ここでも落ち着いたまちが広がっていました。このあたりには山口企画設計が管理する物件や駐車場も目立ちました。
閑静な住宅街<閑静な住宅街が広がる> 山口企画設計も地元の仲間<山口企画設計も地元の仲間>
面白く感じたのは、静かな住宅街でありながら、ところどころに事業所が見られたことです。自宅イコール職場で、隠れ家風に暮らしと仕事が混在している雰囲気が漂っていました。そして住宅街のはずれには歩行者専用踏切があり、今どきあまり見かけない鉄道風景が見られました。踏切を渡って左に行けば駅方面。街道沿いにあるカフェなどをのぞきながら、のんびり歩いて駅に戻りました。
住宅街には事業所もちらほら<住宅街には事業所もちらほら> 歩行者専用踏切<歩行者専用踏切>
デイサービス<デイサービス> 身近な自動車工場<身近な自動車工場> ガーデンのあるカフェ<ガーデンのあるカフェ>
 

ラビング散歩 西武球場前駅の電車

西武球場前駅のプラットホームにあるベンチは横向きで向かい合わせになっています。これは混雑したときやほろ酔い気分のときに、人が線路に転落しにくい設計なのだそうです。野球観戦で盛り上がった乗客が安全に帰路につけるよう細かい工夫がされているのですね。電車も昭和レトロなデザインの車両が走るなど、楽しめるようになっていました。
プラットホームのベンチ<プラットホームのベンチ>
昭和レトロな電車<昭和レトロな電車も走行中> レオライナー<多摩湖駅との間をつなぐレオライナー>
 

ラビング散歩 西武球場前駅まとめ

西武球場前駅の周辺は①メットライフドームエリア、②多摩湖エリア、③寺院エリア、④住宅エリアの4つに分けられると思います。メットライフドームエリアは野球観戦、スキー、テニス、ストアショッピング、ゆり園など、多摩湖エリアは湖畔散策や歴史探訪、寺院エリアは観世音菩薩や不動明王の参拝、住宅エリアは高台からの眺望と隠れ家風スポット探し、そんな雰囲気で楽しめそうです。そして尾崎豊が埋葬された地であることも覚えておきたいと思いました。なお野球開催日の混雑にはくれぐれもお気をつけください。

取材・文・写真 イワタハルユキ


A:西武球場前駅 B:メットライフドーム
C:山口観音 D:狭山不動尊
E:狭山湖畔霊園 F:地蔵峰公園  G:THREE REAFカフェ H:西武球場前駅 

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