ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「保谷駅」編

ラビング散歩
日々の暮らしを支える個人商店が目立つまち保谷には“各駅停車の旅”のような魅力があった

保谷駅は東京都西東京市にある西武池袋線の駅。
西東京市は平成13年(2001)に田無市と保谷市が合併して誕生しました。保谷は江戸時代には穂谷と表記されていたことから、米や麦が収穫される豊かな穀倉地帯だったことが想像できます。現在の西東京市保谷地区は東京郊外のベッドタウンとして戸建住宅やマンションが建ち並びますが、ところどころに昔ながらの緑地や、古くから続く商店を見ることができます。今回のラビング散歩は残暑の保谷駅周辺を歩いてみました。

01<保谷駅改札口>
 
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 EmioとSUTEAで便利にショッピング

保谷駅の改札を南口方向へ出ると、すぐにテナントビルEmioがあり、その先に複合ビルSUTEAが隣接しています。Emioでは食品、衣料品、雑貨、コンビニ、飲食などのテナントが営業し、SUTEAにはスーパーマーケット、ビデオショップのほか、保谷市の図書館、公民館、学習室などが開設されています。
保谷駅は規模の小さな駅という印象がありますが、こうしたテナントショップやスーパーマーケット、さらには公民館や図書館が利用でき、意外に懐が深いことを実感しました。通勤途中の利用はもちろん、日常的な買物やちょっとした外食も便利に楽しめます。そして駅改札は南口ロータリーのペディストリアンデッキに直結しています。
02<駅前広場(2階)から見たEmioとSUTEA> 03<西東京市保谷駅前公民館> 04<西東京市保谷駅前図書館>
 
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各方面に便利なバス路線
保谷駅から西武新宿線やJR中央線方面に移動するときは路線バスが利用できます。これらのバスは運行本数が多く、ルートも便利です。例えば保谷駅から田無駅まで行きたい場合、電車利用だと西武池袋線で保谷から所沢へ行き、折り返して西武新宿線の田無駅まで行かなければなりません。でも路線バスなら時間的にも早く、乗り換えなしで到着できます。東西は電車で、南北はバスで、というのが多摩地域における移動の基本です。
ちなみに保谷駅南口のバス乗り場は次のようになっています。

<乗り場①>
三鷹駅行き(保谷庁舎・保谷中経由)

<乗り場②>
吉祥寺駅行き
田無駅行き
西武車庫前行き
05<路線バスは地域の身近な足> 06<ロータリーには警官常駐の交番>
 
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個性的な個人店がある東町商栄会
07南口ロータリーを出て右手へ、東西に走っている保谷新道を歩きます。なかなか交通量の多い街道です。南に向かって交差するのはかえで通り。その交差点には酒屋さんと米屋さんのお店があります。駅前にお酒とお米の老舗があるというのは、他の駅ではあまり見たことがありません。農村だった保谷の歴史を感じさせます。
では保谷新道を西に歩いてみましょう。沿道の風景はいわゆる昭和レトロで、懐かしい商店街という感じ。この保谷新道沿いにある商店街は「東町商栄会」といい、今も大きな規模を維持しています。駅ビルには大手のチェーン店がありましたが、こちらは地元の個人商店が多く、レトロなだけでなく、新しい個性的なお店もちらほら見つかります。
08<にぎわう東町商店会> 09<今では少なくなった文具店も健在> 10<地域に溶け込む信用金庫>
11<焼きたて食パン専門店> 12<路地にある和食店> 13<ハンドメイド&ギャラリー>
14<靴とバッグのリペア専門店> 15<農業を振興するJA> 16<身近なところに郵便局>
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緑に憩う文理台公園

17保谷新道が大きく蛇行するあたりで沿道から店舗が減り、住宅が増えてきます。さらに進んで「中町」交差点を左に曲がると、そこには緑の並木道。その左には文理台公園が広がります。かつては東京文理科大学の運動場で、「文理大」を「文理台」という名称に変えたとのこと。この公園は面積が約16,000平方メートルと広大で、芝生の自由広場、池、遊具などが整備されています。また水道やトイレも完備し、安心して憩いのひとときを過ごせます。

18<芝生の自由広場> 20<公園入口の母子象>
19この文理台公園はもうひとつ重要な役割を担っています。それは敷地内に設備されている保谷東町ポンプ場。ポンプ場は下水道設備のひとつで、台風やゲリラ豪雨の際に、低い土地の雨水を吸い上げ、素早く下水道や河川に流す施設です。最近は温暖化のせいか、日本でも集中豪雨が多発しています。その被害を抑えるためにポンプ場が活用されているのです
 
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かえで通りを歩いて駅方面へ
文理台公園を心ゆくまで散策し、お隣の西東京市立明保中学校の交差点を左に曲がり、かえで通りに突き当たったら左に向かいます。このかえで通りは保谷駅南口に向かうまだ新しい道路です。沿道には商店、飲食店、医療施設、学習塾などが点在し、今後の発展が期待できます。
21<クリニックも身近に揃っている①> 22<クリニックも身近に揃っている②>
23<クリニックも身近に揃っている③> 24<大規模な自転車駐車場も完備>
 
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北口周辺は再開発で広々とした印象
25かえで通りで南口に戻ったら、ロータリーには入らず、保谷新道を東に歩いてみましょう。このあたりもお店が林立していてにぎやかです。大東京信用組合のある交差点を北に曲がると、すぐに踏切が見えます。この踏切を渡って、保谷駅北口方面に歩いてみました。

まず目についたのが、今人気のスーパーマーケット。卸売価格で生鮮品から日用雑貨まで買えることをウリにしています。隣にはドラッグストアもあって、とにかく安く買い物ができそうな一角です。その先には個性的な飲食店もあります。

26<食品、雑貨、薬などが安く買える!> 27<青森の郷土料理が食べられる>
線路沿いに歩くと、すぐに保谷駅北口に着きました。明るく広々とした北口ロータリーにはタクシー乗り場と、西東京市のコミュニティーバス「はなバス」(北町方面循環)の乗り場があります。道路も広く整備され、送迎なども便利そうなロータリーです。駅前には学習塾が目立ちました。
28<広々とした保谷駅北口ロータリー> 29<コミュニティーバス「はなバス」> 30<北口駅前にはスーパーと学習塾>
 
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あらやしき公園と緑地保全地区

保谷駅北口から北へ3分ほど歩くと、こんもりと高い位置に公園が見えてきます。ここが西東京市立あらやしき公園です。足を踏み入れてみると広い芝生広場がある爽快な緑地。誰でも気軽に休憩できる四阿(あずまや)や子どもが楽しめる遊具も設置されています。実はこの公園の半地下には自転車駐車場が整備されていて通勤の人々に愛用されています。置いた自転車が雨でも濡れず、しかも公園を含めて人の出入りが多いので安心して利用できるようです。公園と自転車駐車場の一石二鳥はグッドアイデアだと思います。
31<あらやしき公園の芝生広場> 32<お年寄りや車イスもスロープで公園へ>
あらやしき公園の先には緑の繁る特別緑地保全地区があります。ここは昔の豪農のお屋敷跡で、屋敷林が保全されています。保全が目的ですので一般への公開はされていません。ただし敷地内には市と公園ボランティアが協働で管理している「野草園」があり、ここだけは毎週金曜日の午前中のみ公開されています。
33<特別緑地保全地区に隣接する歩道> 34<特別緑地保全地区の門前>
35特別緑地保全地区の隣接地には下保谷福祉会館と下保谷児童センターの合同施設があり、好ましい自然環境でした。このようなロケーションのもとでお年寄りや子どもたちが過ごせるのは幸せなことだと思います。
 
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ラビング散歩的「保谷」まとめ

今回のラビング散歩は厳しい残暑の中を歩きましたが、訪れた公園や緑地では清涼感を覚えることができました。
保谷地区には高層ビルや大きな団地があるわけではありません。私も郊外の静かな住宅街という印象を持っていました。保谷駅は特急、快速急行、急行など停まらない電車も多く、人々が集まるショッピングモールもありません。でも、実際に歩いてみると、平日でも人々に活気があり、何よりも個人営業の小さなお店が頑張っていることに感銘しました。そして公園など市民の憩いの場を整備する行政の熱心な姿勢も感じることができました。いまや保谷は昭和レトロから変貌しつつあるのではないでしょうか。広い道路、ゆとりの空間、公園や緑地。生活利便性の高い商店群。保谷駅北口の再開発を見て令和の時代に期待を膨らませることができました。
36<平日でも往来が多い保谷駅>
取材・文・写真/イワタハルユキ
※この記事の内容は令和2(2020)年9月9日現在のものです

 


A:保谷駅南口 B:SUTEA 保谷駅前公民館・図書館 C:西京信用金庫 保谷支店 
D:JA東京みらい下保谷支店 E:保谷東町郵便局 F:文理台公園 
G:保谷駅南口自転車駐車場 H:業務スーパー保谷店 I:あらやしき公園 J:下保谷児童センター・下保谷福祉会館 

 

 

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