ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「大泉学園」駅編

ラビング散歩南口は整備された生活都市、北口は落ち着いた住宅街が広がる「大泉学園」駅周辺

 西武池袋線大泉学園駅は大正13年(1924)に武蔵野鉄道の東大泉駅として開設され、昭和8年(1933)大泉学園駅と改称されました。現在、停車する電車は通勤急行、通勤準急、準急、各駅停車となっています。この駅についてときおり話題に上るのが、大泉学園という学校があるわけでもないのに、なぜ大泉学園なのかということ。実は大正12年(1923)の関東大震災以後、当地が「大泉学園都市」と銘打って開発されたからだそうです。開発の目玉として東京商科大学(現在の一橋大学)を誘致する動きがありましたが、大学は国立市に移転が決まり、その名残として大泉学園の名前が残ったとのこと。ネーミングのせいか大泉学園にはどこか文化的な雰囲気があります。文化と自然に焦点を当てながら駅周辺の繁華街と住宅街を歩いてみました。

画像01<大泉学園駅の改札口にはベーカリーとコーヒーショップがある>
 

 ラビング散歩ペデストリアンデッキのある南口

改札階は2階、まず南口に足を向けてみましょう。ぺデストリアンデッキで駅前ロータリーの上をひとまわりできます。デッキの中央には樹木や草花が植えられ、気分爽快。エレベーターが完備しているのでお年寄りでもらくらく移動できます。

画像02<改札階は南口ぺデストリアンデッキに直結>

画像03<南口ペデストリアンデッキから北口方面を望む>

画像04<地上とペデストリアンデッキを結ぶエレベーター>

地上のロータリーに下りると、バス停があります。他の駅と同様、バスは地域住民の貴重な足になっています。

のりば(1
吉祥寺駅行き
西武車庫前行き

のりば(2
長久保(放射7号経由)

のりば(3
上石神井駅行き
西荻窪駅行き
阿佐ヶ谷駅行き

のりば(4
新座栄
都民農園セコニック
長久保(西長久保経由)
長久保(都民農園セコニック経由)

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<南口バス停>
 ロータリーをひとまわりしていて、面白いと思ったのは大画面ディスプレイのある大泉学園駅前交番です。画面には防犯や交通安全などの情報が流れていました。交番の外観もブラウン系を基調にライトグリーンをあしらうなど、おしゃれな印象です。
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<大画面ディスプレイのある交番>

 南口ロータリーから線路に沿って所沢方面に少し歩くと自転車駐車場があります。ここに自転車を停めて、電車やバスを利用する人も多いようです。自家用車を使わず、なるべく公共交通機関を使うのはエコにつながります。駅近に大型の自転車駐輪場があるのは便利なだけでなく、環境保護の観点からも良いことだといえます。

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<駅近の自転車駐車場>
 

 ラビング散歩ゆめりあフェンテ

さて、ロータリーやペデストリアンデッキに直結している商業施設が「ゆめりあフェンテ」です。ゆめりあフェンテにはA館とB館があり、A館にはカフェ、ベーカリー、スィーツ、ドラッグストア、ミニマーケットなどが営業。B館は飲食店(和食、洋食、カフェ等)を中心に、クリニック、処方箋薬局も備えています。またB館の地階には自転車駐車場も完備されています。

画像08<南口の複合施設「ゆめりあフェンテ」> 画像09<ゆめりあフェンテには多彩なショップが勢揃い>
 

 ラビング散歩ROAD FUJIMI (ロードふじみ)

ゆめりあフェンテの敷地から南側に出ると、まっすぐ伸びる商店街があります。これは練馬西税務署に向かう道。ここはROAD FUJIMIという、昔ながらのお店と新しいお店が混在する便利な商店街になっています。暮らしに密着した個人商店はもちろんのこと、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、複合医療施設や薬局も揃っています。
画像10<ROAD FUJIMIはにぎやかな商店街>

画像11<地域のふれあいはコミュニティカフェで>

画像12<専門医院を集めた医療施設>

 

ラビング散歩 練馬区立 石庭の森緑地

大泉学園は緑を保全しつつ開発された郊外都市で、ところどころに公園や緑地が配置されています。ROAD FUJIMIの近くにある石庭の森緑地(練馬区東大泉7-50-48)も邸宅の庭をもとに造られた貴重な空間。もともと庭にあった多くの自然石を生かし、屋敷森の風格を継承しています。誰でも気軽に散策できる緑の宝庫です。

画像13<石庭の森緑地>

 

ラビング散歩 牧野記念館

石庭の森からROAD FUJIMIをまたぎ、住宅街の路地を東へしばらく歩くと、牧野記念館(練馬区東大泉6-34-4)があります。この施設、正式名称は「練馬区立牧野記念庭園記念館」といい、植物分類学者であった牧野富太郎博士(1862~1957)の偉業を伝える場となっています。植物に興味のある人なら「牧野日本植物図鑑」という書物を一度は手に取ったことがあるのではないでしょうか。その著者、牧野富太郎博士は大正15年(1926)から昭和32年(1957)に逝去するまでの約30年間、この地に住みました。現在、記念館の庭園には300種以上の草木が繁茂し、植物学上も貴重な資料と高く評価されています。

画像14<牧野記念庭園記念館>

画像15<牧野富太郎に関する資料が展示されている館内>

 画像16
<草木のひとつひとつが貴重な存在>
 

ラビング散歩 医療機関が充実している大泉学園

 先程のROAD FUJIMIにも専門医院を集めた医療施設がありましたが、牧野記念館から駅方面に歩いていると、同じような医療施設を見つけました。内科、眼科、皮膚科、処方箋薬局などが入居しています(最上階はカルチャーセンター)。気軽に大きな病院に掛かれなくなった昨今、こうしたかかりつけ医の存在には安心感があるのではないでしょうか。
画像17<医療機関を集めたビル>
 

ラビング散歩大泉学園駅北口、賑わう駅前と静かな住宅街

 牧野記念館から大泉学園駅に戻り、次は北口を歩いてみます。改札階でLIZMO側に出ると、アニメのまち練馬ということで、人気キャラクターのオブジェが迎えてくれました。鉄腕アトム、あしたのジョー、うる星やつらのラムちゃんなどです。

画像18<鉄腕アトムなどのオブジェが並ぶ>

画像19
<人気アニメのボードも展示>

駅にペデストリアンデッキで直結しているLIZMO大泉学園は地下2階から地上27階まである高層ビルです。ここには商業施設Grand Emio大泉学園が入っているほか、練馬区の大泉区民事務所、地域活動支援センター、自転車駐車場などの行政機能も置かれています。そして5階から27階まではタワーマンションになっています。

画像20<LIZMO内に買物便利なGrand Emioがある>

画像21<Grand Emioのきれいな1階エントランス>
画像22
<LIZMOにはシェアオフィスも設置されている>

地上に下りると、駅の周辺は南口と比べて道路が入り組んでいますが、バスやタクシーは豊富な運行量。大泉学園駅北口のバス停は次のとおりです。

 のりば(1
福祉センター入口行き
新座駅南口行き
新座営業所行き
長久保行き
和光市駅南口行き
(深夜バス)都民農園セコニック行き

のりば(2
都民農園セコニック行き
新座栄行き
朝霞駅南口行き
成増駅南口行き
長久保行き

のりば(3
練馬駅北口行き
新江古田駅行き
(みどりバス)大泉学園五丁目循環

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<のりば3番にはコミュニティバスも運行中>

 

ラビング散歩 ゆめりあホール

 南口のゆめりあフェンテと対比するゆめりあホール。6階のゆめりあホール、7階のゆめりあギャラリーなど文化的な施設が配置されています。飲食店や英会話教室などもあり、大泉総合福祉事務所のような行政機関も置かれています。8階から10階まではオフィスや学習塾が入居しています。

画像24<左がゆめりあホール、右がLIZMO>

 

 ラビング散歩学園都市として住宅開発された北口

大泉学園駅の北口は南口のように大きなロータリーがあるわけでもなく、道路が入り組んで走っています。商店もいろいろ。その雑踏が活発な勢いを感じさせます。大泉学園駅の周囲は人も車も元気に動き回っている印象。そこで駅から少し離れた住宅街を見てみようと思い、散策をはじめました。

画像25<北口も駅の近くは繁華街>

最初に立ち寄ったのは駅から程近い北野神社。練馬区立大泉小学校に隣接しています。ここは学問の神様として名高い菅原道真公を祀った神社で、江戸時代の初めにはすでに鎮座していたとされます。そして現在は地域の守り神として信仰を集めているとのこと。また境内には練馬の名木百選に選ばれた「むくろじ」の大木がそびえています。

画像26<北野神社>

北野神社から大泉街道(都道24号線)を東へ歩き、今度は仏教寺院の妙延寺に到着。このお寺は正式には倍光山妙延寺という日蓮宗のお寺です。開山は永禄11年(1568)とされており、約450年の歴史を持ちます。このお寺では江戸時代から子どもたちを集めた寺子屋が運営され、現在の大泉小学校の前身である明倫学校は、ここで開設されたとのことです。

画像27<現在の本堂は昭和40年(1965)建立>

 

ラビング散歩 弁天池公園

 かつて学園都市となるはずだった大泉学園。その分譲地は高級住宅街にふさわしく区画整理され、緑地や公園の整備も進んでいました。想定していた大学は誘致できなかったものの、分譲地の風格は立派なものでした。現在は1区画が分割されて小さめになるなど時代に合わせて変化していますが、閑静な住宅地であることは変わりありません。今回、あてもなく住宅街を散策していて、弁天池公園という池のある公園を見つけました。池ではほとんど釣れない釣りをする人がいて、公園では子どもたちが走り回っている、そんなのどかな景色を見ることができました。これは大泉学園ならではの情景ではないかと思います。

画像28<弁天池で釣りをする人>

 

ラビング散歩 大泉学園駅周辺まとめ

 大泉学園は大正13年(1924)から分譲された歴史ある住宅地です。現在の大泉学園駅から2kmほど北側の雑木林50万坪を切り拓くスケールの大きな開発でした。現在、南口は古い町並みが残っていたり、現代風に再開発されたりしていますが、北口から少し歩いた住宅街には大きめの敷地に邸宅風の家が建ち並びます。それも大規模な学園都市開発という計画があったからなのでしょう。結局、大学は来なかったものの、駅のまわりには商業施設や飲食店が集まり、活気のあるまちが生まれました。そして南には一般的な住宅街、北に行くと広い敷地に家が建っているエリア。半径5kmほどのエリアにいろいろな顔が見られる大泉学園は、歩いてみるとなかなか興味深いまちでした。

画像29<街歩きを終えた大泉学園駅北口>

 取材・文・写真/イワタハルユキ


A:大泉学園駅南口 B:ゆめりあフェンテ C:ドクターズポート D:石庭の森緑地 E:牧野記念館
F: いずみの眼科 G:ゆめりあホール H:北野神社 I:弁天池公園 J:大泉学園駅北口

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