新所沢ジャズハウス SWAN(スワン)

アナログレコードを聴きながら気軽にコーヒーやアルコールが楽しめる50年余の歴史あるジャズハウス

新所沢駅西口から歩いて1分。住宅街へ向かう静かな路地にジャズハウスSWAN(スワン)があります。ここはジャズファンには全国的に有名なお店。開店以来50年以上の歴史を持つジャズ喫茶の草分けとして知られています。とはいってもジャズフリークだけでなく、誰でも気軽にコーヒーやお酒を楽しむことができるお店です。

<SWANの店内>

 

SWANにはいくつもの顔がある

SWANにはジャズ喫茶、バー、ライブハウス、ジャム・セッションなどいくつもの顔があります。まず午後の顔はジャズ喫茶。15:00の開店から19:00まではコーヒータイムとなっていて、コーヒーが400円(おかわり100円)で味わえます。その他のソフトドリンクもいろいろ。そして、コーヒータイムにも曲のリクエストができるので、好きな音楽を聴きながらくつろぐことができます。

19:00から26:00まではバータイム。とはいってもお酒は開店の15:00から飲むことができます。ジャズの流れる店内でお酒や料理を楽しむ至福の時。1人飲み、カップル、友だち同士など、客層はさまざまで、マニアックなジャズファンとは限らず、普通に飲みにくるお客さまも多いとのことです。

マスターの須藤義雄(すとう よしお)さんは言います。
「ジャズハウスだからジャズを語る人ばかり集まるということは全くありません。音楽を聴きたい人、飲みたい人、食べたい人、SWANはすべてオーケー。レコードやCDの持ち込みも大歓迎です。クラシックやロックをかけることもありますし、演歌をかけてくれと言われて他にお客さまがいなければかけることもありますよ(笑)」

<レコードが並ぶカウンターにて
マスターの須藤義雄さん>

ジャズハウスというと厳密にジャズを聴いたり語ったりする場と思いがちですが、どうやらSWANはもう少し“ゆるい”場をめざしているようです。コーヒーを飲みながら雑誌を読む、音楽を聴いてもの思いにふける、友だちと他愛のないおしゃべりをする、どれも正解なのです。

ライブは主に週末の20:00~23:00に2ステージで行われます。料金は2,700円(税込)より+オーダーとなっています。前日までに予約すると500円OFFになるとのこと。ミュージシャンによっては3ステージになることもあり、またライブチャージも変わることがあるので、事前によく確かめましょう。ライブの日程や詳細はSWANのホームページ(記事末尾にリンクあり)や店頭ポスターで知ることができます。

なお、ジャズを演奏する人に耳寄りな情報としては、SWANのジャム・セッション(第1・第3日曜13:00~)とJam道場(第1木曜15:00~18:00)があります。ジャム・セッションはアマチュア演奏家が集まり、皆で演奏を披露する場。Jam道場はジャム・セッションに参加して楽しむためのレッスンで、実際に演奏しながら理論や演奏のポイントを学び、ミュージシャンとして“ウケる”パフォーマンスを身につけるものです。

また、SWANでライブに出演したいというミュージシャンは、マスターが本人や演奏について検討した上でブッキングしてくれるとのこと。アマチュアが自分でお客さまを集めて演奏するいわゆる「ハコ貸し」も可能だそうです。

 

SWANの歴史を振り返る

SWANはオフィシャルには1965年にオープンしたとされていますが、これはジャズ喫茶をはじめた年。実際にはその2年前、1963年に純喫茶として開店したそうです。当時のママ岡田知子(おかだ のりこ)さんのために母親の小達慶子(おだち けいこ)さんが純喫茶をはじめ、これが現在まで50年以上続くSWANの源流となりました。

オープン当初、SWANは所沢駅西口にありました。いまロータリーになって商業施設のワルツが建っている裏あたりです。敷地が三角形だったため、建物も三角で、古くを知る人はそのころのSWANのことを“三角スワン”と呼んでいます。

ジャズ喫茶になってから、知子さんはご主人の岡田隆雄さんと二人三脚でお店を営むようになりました。隆雄さんは貿易会社に勤務したのち、フレンチレストランや古書店を経営するなど、多彩な事業に取り組んだ方だったといいます。妻の知子さんがSWANを切り盛りするうち、ジャズに造詣の深かった隆雄さんが運営に深くかかわるようになり、やがてSWANは日本におけるジャズハウスの草分けとして知る人ぞ知る存在になったのです。

1985年、所沢駅西口再開発のため、SWANはお店を現在地の新所沢に移転しました。今は隆雄さんも知子さんも故人となり、お店は須藤義雄さんと麻季さん夫妻に引き継がれています。現在のマスター須藤義雄さんは、隆雄さんと知子さんの娘である麻季さんのご主人。もともと音楽が好きでレコードショップに勤めていましたが、調理を学んでイタリアンレストランで2年ほど修業し、バーテンダースクールにも通ってSWANを引き継ぎました。

 

SWANのドリンク&フードメニュー

SWANには160以上のカクテル、約15のウィスキー、約13の世界のビール、さらにワイン、日本酒、焼酎が用意されています。アルコールを注文する場合はチャージ(お通し付)400円、ボトルキープの場合はボトルチャージ(水、アイス、テーブルチャージ含む)1,000円がプラスとなります。

マスターにSWANのおすすめ料理を聞いてみたところ、カレーライス、手づくり薄生地ピザ、生ハムおにぎりを挙げてくれました。

・特製カレーライス(ポークまたはシーフード) 1,000円(税込)
カレーは自家製で辛口。厳選したルーをベースに約20種類のスパイスを使い、時間をかけて煮込み、熟成させています。

・手づくり薄生地ピザ 800円(税込)
生地から手づくりした自家製ピザ。薄生地でパリパリに焼き上げ、おいしいと評判です。サイズは18cmで、1人で来店されるお客さまに合わせて食べきれる量になっています。

・生ハムおにぎり(2コ) 500円(税込)おにぎりにチーズを入れ、オリーブオイルで香ばしく焼いたおにぎりです。海苔のかわりに生ハムを巻いてあります。

 

マスターいわく「その日その時でおすすめのメニューもあり、店内にご案内を貼ってありますので、そちらもぜひご賞味ください」とのことでした。

 

レコードとCDのコレクションが約1万枚

マスターにSWANというお店のコンセプトを伺ってみました。
「アナログレコードが聴けることですね。お客さまのレコードを持ち込みで聴くこともできます。レコードやCDをSWANのオーディオ機器で聴くと、自宅で聴くのとはまた違う楽しみがあると思います。自宅ではなかなか大音量で聴けないでしょうし。ですからSWANはお客さまが好きな音楽を心置きなく聴ける店でありたいと思っています」

「SWANはジャズハウスと銘打ってはいますが、これがジャズ!というところで語っていると、どんどんつまらなくなります。ジャズは難しいというイメージを払拭したいと思っていますし、どんなジャンルにも通じる音楽の楽しさを伝えていきたいですね」

現在、店内にはレコードとCDを合わせて約1万枚のコレクションがあるとのこと。リクエストを受けたときに探し当てられるのかと余計な心配をしてしまい、マスターに聞いたところ、楽器リーダーを目安に収納しているものの厳密に順序を決めて置いているわけではないそうで、探せるのは収納場所が頭の中に入っているマスターしかいないとのこと。このへんのアナログなところもまた面白いと思いました。

ジャズ喫茶、バー、ライブハウス、ジャム・セッションというSWANの顔をご紹介しましたが、SWANはテーブル20席とカウンターという小さなお店ながら、不思議な存在感のあるお店です。50年以上刻まれてきた歴史が醸し出す雰囲気でしょうか。ジャズのことを知らない方でも大丈夫ですので、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

<SWANの外観>

 

【お店のデータ】

新所沢ジャズハウス SWAN
所在地 / 〒359-1111 所沢市緑町1-18-1 SHOEIビル1F
TEL・FAX / 04-2924-4230
営業時間/ 15:00~26:00
定休日 / 不定休
駐車場 / 周辺にコインパーキングあり
メールアドレス / swan.1965-2daime_mastacos@ezweb.ne.jp
ホームページ / http://swan.o.oo7.jp/
フェイスブック / https://www.facebook.com/JazzHouseSWAN/

取材・記事/イワタハルユキジモト発見ライター

 

トピックス|すべての記事

ページトップへ