ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「入曽」駅 編

電車アイコン 入曽駅周辺は歴史と暮らしが隣り合わせの住宅地

西武新宿線入曽駅は、新所沢駅と狭山市駅の間にある閑静な駅です。かつては電車から狭山茶や野菜が栽培される田園地帯が見えたものの、昨今はゆっくりペースではありながら着実に宅地化が進みつつあります。
今回は車窓から眺めているだけではわからない入曽という土地の実体を、歩きながら肌身で感じてみようと思いました。さて、ジモト発見ライターは何を見つけることができたでしょうか。

入曽駅東口<入曽駅東口>

 

電車アイコン 昭和レトロな空気が流れる入曽駅東口

西武鉄道の駅はほとんどが橋上駅になっていますが、この入曽駅は東口も西口も1階に改札があり、反対側のホームには階段で移動するかたち(2019年12月現在)です。ホームにはエレベーターが設置されているのでお年寄りや車いすの方も安心して利用できます。
まず東口の改札を出てみましょう。西武新宿方面行きのホームの中ほどにある改札を出ると、小さな駅前広場があります。そこには交番があり、いつも警察官が詰めているのでセキュリティは万全です。

バスは西武バス(新狭山駅南口行き/1日1本)、狭山市内循環バス「茶の花号」(入曽東コースおよび入曽西コースの各左回り・右回り/1日計8本)が運行中。利用の際は時刻表を確かめて出掛けることをおすすめします。他に豊岡第一病院との間を往復する病院のシャトルバスがあり、こちらは本数も多く、通院の方には便利です。
またタクシー会社が目の前にあり、利用しやすくなっています。

茶の花号は住民の大切な足<茶の花号は住民の大切な足>

東口前には花店、クリーニング店、だんご屋、酒場などが軒を連ね、夕方から夜にかけては通勤客の往来もあってにぎやかです。近くの商店街にも大手チェーン店は見当たらず、個人商店が多いのが特徴。お店のご主人とお客さんがのんびり話し込む姿も見られました。こうした情景にも、どこか昭和の温かみを感じてしまいます。

昔ながらの商店街<昔ながらの商店街>

さて駅を背に小さな商店街を通り過ぎると、入曽駅入口交差点です。右左に酒場がちらほら見えますが、まだ午前中なので気にせず歩きます。
この交差点を直進したあたりにおいしい手打ちうどんのお店があるという話を聞いたことがあるので自然に足が向かいます。

まっすぐ歩いていると途中で「狭山西武野球塾」という看板を発見。
どうやらPRIMAVERA LIONE(プリマヴェーラ・リオーネ)という、室内練習場も構えた本格的な野球塾のようです。こうした養成機関で練習した少年たちが、将来のプロ野球を支えていくのかと納得しました。

野球塾の入口<野球塾の入口>

野球塾を通り過ぎてすぐ左側にうどん屋さんが見えてきました。店名は「ここらの田舎うどん なんかん」です。地元の知人に聞くと、バラ肉たっぷりの肉汁うどんか、野菜あんかけが乗っているなんかんうどんがおすすめとか。麺は太麺と細麺が選べるそうです。駐車場もあるので少し遠くからでも気軽に来られるお店。きょうはお昼までまだ時間があるので、散歩を続けます。

地元で「ここらの田舎うどん なんかん」の評判は上々<地元で「ここらの田舎うどん なんかん」の評判は上々>

 

電車アイコン 歴史ある神社仏閣が点在

入曽駅入口交差点に戻ると、隣接してお寺があることに気がつきました。石碑には「真言宗御嶽山金剛院」と立派な筆跡で彫られています。このお寺の本尊は「木造地蔵菩薩立像」で狭山市指定文化財(彫刻)となっているとのこと。本堂のほかに境内には「弘法大師御宝前」も配置されています。

金剛院本堂<金剛院本堂>

弘法大師御宝前

<弘法大師御宝前>

信号を渡るとガラリと変わって「レジャーセンターあづま園」があります。ここではゲーム、卓球、ビリヤード、オートテニス、バッティング、室内つり堀が楽しめます。ここも昭和レトロな遊戯場といった趣で、不思議な雰囲気を漂わせています。

楽しく遊べる「あづま園」<楽しく遊べる「あづま園」>

道路をはさんでその向かいには「入間野神社」があります。小さいながら見るからに歴史のありそうな神社で、建久2年(1191)創設と伝えられているそうです。祭神はオオヤマヅミノミコトとコノハナサクヤヒメノミコト。毎年10月の第3日曜日には埼玉県指定無形文化財である「入曽の獅子舞」が奉納され、風雨和順、五穀豊穣が祈願されます。こうした伝統行事が身近に見られるのも貴重なことだと思います。

入間野神社<入間野神社>

入間野神社からすぐの入曽橋を渡ると乗泉寺観音堂があります。昔、干ばつの際にこの観音様にお祈りすると、枯れていた古井戸からこんこんと水が湧き出たといわれています。乗泉寺観音堂の裏手には、埼玉県指定史跡の「七曲井」(ななまがりのい)。
これは周囲約70メートル、直径26メートル、深さ11.5メートルの巨大な漏斗状井戸の遺跡で、平安中期に武蔵国府が掘ったものとされています。現在は崩落防止のため昔と形が変わっていますが、井戸のまわりを一望するだけでも悠久の歴史が感じられます。

埼玉県指定文化財 史跡 七曲井<埼玉県指定文化財 史跡 七曲井>

そして観音堂の横を流れているのは不老川。節分の夜に不老川の橋の下にいると歳をとらないという言い伝えがあり、「ふろうがわ」を「としとらずがわ」とも読みます。水源は入間市宮寺で、狭山市堀兼を経て、川越市の新河岸川へ流れ込みます。

不老川

<不老川>

乗泉寺観音堂からさらに狭山市方面に歩くと、今度は右手の道路を入ったところに野々宮神社があります。住宅街のなかに静かに佇んでいる風情が印象的です。奈良時代に建立された神社で、朝廷の命を受けて入間路の警備や七曲井の管理に当たったそうです。明治40年には神明神社、八雲神社、稲荷神社、愛宕神社、蔵王神社が合祀されました。

晩秋の野々宮神社<晩秋の野々宮神社>

野々宮神社の静かな境内でしばらく過ごしたあと、街道に戻るとディスカウントストアのジェーソンが目に飛び込んできます。一気に現実に戻った感じ。ジェーソンは食品、衣料、雑貨などジャンルを超えて安売りするお店で、日常の買い物に便利です。

ディスカウントストア ジェーソン<ディスカウントストア ジェーソン>

このあたりまで来ると、あとは普通の住宅街になるようなので、そろそろ駅の方へ戻ることにしました。入曽交差点まで戻って今度は東西に走る「茶摘み通り」を西へ向かいます。その先に踏切が見えています。その踏切の手前まで来ると右手にJA FARMERSというお店を発見。農協系のエーコープ関東が運営しているスーパーマーケットです。地元農産物の直売など他のスーパーにはない品揃えが魅力だとのこと。2階には百均もあって便利です。また、警備員さんが歩行者の安全誘導に一生懸命で好感が持てました。

JA FARMERS 地産地消の農産物も取り揃え<地産地消の農産物も取り揃え>

 

電車アイコン のどかな雰囲気の入曽駅西口周辺

ということで踏切を渡って西口側へ。すぐに路地を左に折れて駅方面へ歩いてみました。
このあたりはさすがに駅近なので住宅街になっています。駅の近くには広大な市営第11駐輪場があって自転車とバイクで埋まっています。通勤に使う人が多いのでしょう。最近は駅に近い駐輪場が撤廃されたり有料になったりすることが多いのですが、こうして自由に使える駐輪場があるのが一番ありがたいと改めて思いました。

駅前の広大な市営駐輪場<駅前の広大な市営駐輪場>

入曽駅西口側を歩いて視界に入るのは、農家、茶畑、野菜畑、点在する新興住宅街。空き地も多く、まちづくりは「これから」という印象です。
建物は低層階が多いので空が広く感じられます。こういう風景、残しておきたいと思う人も多いのではないでしょうか。両隣の新所沢駅とも狭山市駅とも違う、郊外そのものの安心感。入曽に住んだら、きっと気持ちが落ち着くのだろうな、と思いました。
入曽駅西口<入曽駅西口>

入曽らしい風景が広がる<入曽らしい風景が広がる>

 

電車アイコン 入曽はコインパーキングが安い!

歩いていて感じたことですが、入曽駅周辺には至るところにコインパーキングがあります。しかも相場が安い! ほとんどが駐車後24時間400円。なかには350円というところも。やはりまだまだ空き地が多いせいでしょうか。この金額なら「駅までクルマで来て、電車で都心へ」というお出掛けスタイルもありだと思いました。

コインパーキング コインパーキング コインパーキング

<コインパーキングが充実>

 

電車アイコン入曽駅周辺にはクリニックが多い!

もうひとつ歩いていて気がついたこと。入曽駅のまわりには医院やクリニックが多いと感じました。
これは住宅街にとって大事なポイントです。近くにかかりつけ医がいれば安心ですし、高齢になっても通いなれたクリニックで健康維持に努めることができそうです。
入曽駅周辺にはクリニックが多い<入曽診療所>

入曽駅周辺にはクリニックが多い<ともえクリニック>

入曽駅周辺にはクリニックが多い<広沢内科クリニック> 入曽駅周辺にはクリニックが多い<えのき眼科&ひなた内科>

 

電車アイコン スポーツクラブとスーパーマーケットも盛況!

西口を過ぎて小さな踏切を渡り、東側へ戻ります。所沢方面にすこし歩くと、線路際にスポーツクラブi-fa(アイファ)が見えてきます。ここはマシンジムやプールを完備し、地域の人々の健康づくりに貢献しています。

スポーツクラブ アイファ<スポーツクラブ アイファ>

さらに踏切を背にして水野(月見野)交差点方向に歩くと、スーパーマーケットのヤオコーがあります。ヤオコーは生鮮食品などの品質に定評があるお店。日常生活に必要なものはおおむね揃うので、住民にとってはたいへん便利な存在だと思います。

ヤオコー マーケットプレイス<ヤオコー マーケットプレイス>

狭山所沢街道の水野(月見野)の交差点にはマクドナルド入曽店があり、若者や家族連れでにぎわっています。クルマで通りかかった人が立ち寄る印象がありますが、地元住民が気分転換や散歩がてらに訪れることも多いようです。ここから狭山所沢街道を入曽駅東口まで戻り、本日のラビング散歩は終了です。 水野(月見野)交差点のマクドナルド<水野(月見野)交差点のマクドナルド>

 

電車アイコン 入曽は歴史を身近に感じつつ落ち着いて暮らせるまち

入曽駅周辺をぐるりと回るかたちで約3時間歩いてみました。このあたり、もともとは街道筋の農村地帯だったことが理解でき、どことなく郷愁にひたる散歩でした。
時代が少子高齢化で人口減少の傾向にある以上、こうした地域が急激に発展する可能性は少ないと思います。しかし、住む上では逆にそれが魅力になるかもしれません。住宅街に溶け込んだ神社仏閣や史跡を見ていると、歴史とともに暮らすというスタイルが魅力的に思えてきます。みなさまいかがお考えになるでしょうか。

最後に入曽駅周辺のラビング散歩まとめを記しておきます。

■全般/神社仏閣と史跡のある落ち着いた住宅地
■交通/東西、南北に走る街道が交差する地点
■医療/医院、クリニックが住宅街に豊富
■買物/スーパーマーケットと個人商店で買物至便
■移動/自転車利用が活発で駐輪場が充実

入曽らしさ満載!東口で見つけたレトロな看板

<入曽らしさ満載!東口で見つけたレトロな看板>

■A:入曽駅東口 ■B:なんかん ■C:あづま園 ■D:金剛院 ■E:野々宮神社 ■F:ジェーソン
■G:JA FARMERS ■H:入曽駅西口 ■I:スポーツクラブI-FA ■J:マクドナルド

(取材/ ジモト発見ライター イワタハルユキ)

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