ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「東村山」駅 編

ラビング散歩 東京のベッドタウンとして発展し、落ち着いた住宅地となった東村山駅周辺を歩く

東村山市は人口約15万人、東京都の多摩北部に位置する中堅自治体です。
戦前は畑と雑木林が広がる田園地帯でしたが、戦後の高度成長期に東京のベッドタウンとして発展し、現在は利便性の高い住宅地として人々の暮らしの舞台となっています。今回は落ち着いた佇まいを見せる東村山駅周辺を散策してみました。

東村山駅東口ロータリー
<東村山駅東口ロータリー> 

 

ラビング散歩 鉄道の連続立体交差化で変わる東村山駅周辺

東村山駅は西武新宿線、国分寺線、西武園線の連絡駅。現在、駅周辺の線路は連続立体交差化の計画が進められており、駅舎もそれに合わせて改修中です。線路の高架化が完成すると沿線4.5kmにわたり5か所の踏切がなくなるとのことで、周辺住民は安全確保や交通渋滞の解消に期待しています。

駅舎改修中で現在の改札は地下に
<駅舎改修中で現在の改札は地下に>(2020年2月現在)

まず改札から東口に出てみました。こちらには高層ビルもなく、ロータリーには青い空が広がっています。ちょうど目に入ったのが、停車しているグリーンバス。これは住民が日常の足として使うコミュニティバスだそうです。
東口に発着するグリーンバスは、東村山駅東口~多摩北部医療センター~新秋津駅行き、久米川町循環、諏訪町循環の路線があります。これらを利用の際は時刻表を事前に確認することをおすすめします。

車イスでも気軽に乗れるグリーンバス
<車イスでも気軽に乗れるグリーンバス>

また、東村山駅東口には地元企業の銀河鉄道株式会社が運営する通称「ぎんてつ」の路線バスがあります。このバスは東口から青葉町を経由し、運動公園方面へ向かう路線。地域を元気にしたいと願って始められた小さなバス会社ですが、独特の存在感はこれまでテレビや新聞で紹介されて注目されています。そのせいか「ぎんてつ」に乗るために東村山にやってくるファンも多いとのことです。

 

 日常の買い物や外食に便利な駅周辺

東口ロータリーから府中街道を横切り、駅を背にして東へ歩いてみましょう。
左側の歩道を歩き、この先にある東村山スポーツセンターで折り返して戻ってくる予定です。この直線道路は通称「さくら通り」と呼ばれ、春になると沿道の桜が見事に咲き誇ります。そして、この道路沿いには日常的に利用できるお店が点在しているのです。

東へ直線的に伸びるさくら通り
<東へ直線的に伸びるさくら通り>

さくら通りを歩きはじめるとすぐに自転車置き場が目に入りました。メカニカルに自転車を預ける仕組みでセキュリティ万全、利用料金は24時間毎に100円です。ここに自転車を置いて駅からお出掛けというのは便利で安心。
東村山駅周辺は坂道がないので自転車を利用する人が多く、こうした駐輪場があるのはありがたいことだと思います。

自転車置き場
<自転車置き場>

そのまま東へ歩くと左手に山梨中央銀行があります。
なぜ東京の東村山に?と不思議に思いますが、この銀行は都内に16店舗を開設しているとのこと。特に西東京地区は山梨県と経済的なつながりが深く、地域密着で積極的に営業展開しているそうです。

さくら通りに面した山梨中銀
<さくら通りに面した山梨中銀>

桜並木に隠れがちですが、このあたりからいろいろなお店があることに気がつきます。飲食店、美容院、歯科医院、保育園などがあり、暮らしに便利な印象があります。

訪問診療もしてくれる、かわせ歯科
<訪問診療もしてくれる、かわせ歯科>

明るく広々とした天王森保育園
<明るく広々とした天王森保育園>

 

 歴史と伝統の老舗ポールスタア

さらにさくら通りを東に歩くと「ポールスタア」というソース工場が出現します。この会社は当地で1850年(嘉永3年)に櫻井醤油店として創業。1977年(昭和52年)にソースと調味料の開発、製造、販売をはじめたそうです。ここでは工場見学(要予約)や工場直売所での買い物が楽しめます。

創業170年の歴史を持つ地元企業ポールスタア
<創業170年の歴史を持つ地元企業ポールスタア>

東村山ではイカ墨を使った「黒焼そば」が名物で、市内のいろいろなお店で提供されています。その多くがポールスタアの黒焼そばソースを使ったもの。
ということで、きょうの昼食はポールスタアのファクトリーカフェで黒焼そばを食べることにしました。

東村山名物の黒焼そば
<東村山名物の黒焼そば>

食べごたえのある太麺に、イカ墨の黒いソースを絡めて、豪快に食べる!それが黒焼そばの醍醐味です。
イカ墨には生臭いイメージがありますが、そんなことはなく、さわやかな風味がありました。黒はインパクトが強いせいでしょうか、トッピングの赤でバランスを取っている感じでした。太めの麺に絡んだイカ墨ソースがクセになりそうです。

 

 市民の健康と運動に貢献する東村山市民スポーツセンター

満腹になってポールスタアを後にすると、すぐ東村山市民スポーツセンターに到着しました。
ここは東村山市が運営する施設で、市民がスポーツに親しみ、カラダづくりに励むことができます。市民は利用料金も安く、数百円でトレーニングルームやプールが利用できます。

詳細はホームページがあるのでご覧ください。
https://www.shisetsu.jp/city.higashimurayama.sportscenter/index.htm

東村山市民スポーツセンターの外観
<東村山市民スポーツセンターの外観>

彫刻が掲げているのは東村山市の市章
<彫刻が掲げているのは東村山市の市章>

センターではスポーツと多角的に取り組める
<センターではスポーツと多角的に取り組める>

 

 東村山出身の志村けんさんに因む銘菓

予定通り東村山市民スポーツセンターで折り返して駅方面に戻ることに。そこですぐに発見したのが和菓子処の餅萬。このお店では東村山市出身の志村けんさんに因んだ「だいじょぶだァ饅頭」、「だいじょぶだァどら焼」、「だいじょぶだァ最中」などが販売されています。
ここは総本店ですが駅西口にも支店があるので、お近くの方は機会があったら東村山みやげにしてみてはいかがでしょうか。

だいじょぶだァ饅頭には小倉餡とうぐいす餡がある
<だいじょぶだァ饅頭には小倉餡とうぐいす餡がある>

 

 買物至便のラーレ東村山

そのままさくら通りをしばらく戻ると、ショッピング施設「ラーレ東村山」があります。
ここはスーパーマーケットオザムを中心に、サイゼリヤ、焼肉いきな黒塀、餃子市、スギ薬局、ヘアカラー専門店、クリーニング店、デンタルクリニックなどが集まった便利なショッピングスポットです。日々の暮らしに必要な買い物はここだけで済ませられるスケール。駐車場も広く、快適に利用できます。

ラーレの敷地内にそれぞれの店舗が建てられている
<ラーレの敷地内にそれぞれの店舗が建てられている>

 

 地産地消が楽しめる農産物直売所

すこし歩くと裏の畑で獲れたばかりの新鮮野菜を並べた直売所がありました。
東村山はもともと農家が多く、今でもところどころに畑が残っています。身近なところに新鮮で安い直売所があるのはうれしいこと。値段を見るとほとんどの野菜が100円ポッキリでした。

旬の野菜が並ぶ農産物直売所
<旬の野菜が並ぶ農産物直売所>

 

 とにかくショッピングが便利な東村山駅東口周辺

さらにさくら通りを西へ進むと、回転すし店、ドラッグストア、喫茶店、ファミレス、弁当店などがあり、何かと便利な街並みです。やはりさくら通りは並木道というだけでなく、日常のショッピングストリートとして愛用できるエリアでした。

駅近くまで戻って「東村山駅東口交差点」を左に折れて府中街道を進むと、東村山中央公民館に続いてイトーヨーカドー東村山店が見えてきます。
このお店、間口は狭いけれど奥行きがあって実はかなり広いのです。何しろ府中街道から線路際までお店の敷地なのですから。言うまでもなく品揃えは豊富で、パソコン教室などのテナントも充実しています。

東村山の顔ともいえるスーパーマーケット
<東村山の顔ともいえるスーパーマーケット>

売場は奥行きがあって広い
<売場は奥行きがあって広い>

東村山駅周辺はお役所が集まっていることも特徴です。
駅からの徒歩圏には東村山市役所、警察署、消防署、税務署などがあります。先ほどのイトーヨーカドーの隣には東村山郵便局があります。お役所が同じエリアにまとまっていて、手続きがまとまったときなどは便利といえるでしょう。

東村山郵便局はいわゆる本局で集配の拠点でもある
<東村山郵便局はいわゆる本局で集配の拠点でもある>

 地上26階の高層ビル ワンズタワー

郵便局から西へ向かい、踏切を渡って右に折れると、東村山駅西口に出ます。その道すがら見えてくるのが西口再開発で建てられたワンズタワーです。
この高層ビルは1~2階が生協などの商業施設、2~3階が市民ステーション「サンパルネ」、4階がオフィスとクリニックモール、5階~26階がマンションになっています。
注目すべきは「サンパルネ」で、住民票や印鑑証明が取れる行政窓口をはじめ、マシンジム、交流スペース、リラクゼーションスペース、市民ギャラリーなどがあり、市民のコミュニケーションと憩いの場になっています。カフェやラウンジでは子どもたちが自習する姿も見られました。また、東村山の特産品を集めたコーナーもたいへん参考になる展示でした。

駅西口住宅街からワンズタワーを望む<駅西口住宅街からワンズタワーを望む>

産業展示コーナー
<産業展示コーナー>

 

 東村山駅西口の住宅街を散策

西口ロータリー近くの「東村山駅西口交差点」から斜めに下りていく坂道を歩いていくと、その先に「トロル」という本屋さんがあります。
このお店については数年前にジモト発見ライターが山口企画設計のホームページに記事を書いたことがありました。絵本をはじめとする子どもの本、福祉や保育に関する本、玩具などを扱っているお店です。ところがきょうの散策は日曜で、残念なことに日曜と祝日はトロルの定休日なのでした。
アドリブの街歩きではこういうこともありますが、めげずにまだ歩きます。

定休日のトロルもなんとなくほのぼの
<定休日のトロルもなんとなくほのぼの> 

 

 住宅街に由緒あるお寺を発見

トロルから路地を北へ歩き、左手の橋を渡って進むと、静かな住宅街が広がります。
歳月を経た家や新築の家が混在しているのは、この地にそれだけの歴史があるということ。落ち着いた住宅街は、成熟したコミュニティを感じさせます。そんなことを考えながら黙々と歩いていると、お寺が見えてきました。

このお寺は「天台宗恵日山大善院」といい「野口のお不動様」と呼ばれて親しまれているそうです。野口というのはこのあたりの地名(東村山市野口町)です。本尊は阿弥陀如来とのことですが、成田山で開眼した不動明王像が安置されているため、そう呼ばれているようです。境内では七福神めぐりができるようになっています。

大善院本堂
<大善院本堂>

七福神めぐりの築山<七福神めぐりの築山>

大善院で静寂を味わってから、日常に戻るような気持ちで、また歩きはじめます。
すこし進むと駅に戻る道にぶつかったので、足の疲れもそろそろ潮時、戻ることにしました。途中の道は昔ながらの商店街という感じで、古いお店が点在しています。そのなかにオアシスという医療と福祉の複合施設があり、小児科、小児外科、外科、内科のクリニック、歯科医院、デイサービスが揃っていました。まちにこういう施設があるのは安心なことだと思いました。

医療と福祉の複合施設はおしゃれなデザイン
<医療と福祉の複合施設はおしゃれなデザイン>

 

 東村山駅西口で街歩き終了

棒のようになりつつある脚を引きずりながら、終着点の東村山駅西口まで戻ってきたジモト発見ライター。
ロータリーのまわりを眺めると、学習塾、クリニック、お茶屋さんなどが目に入ります。きょう総本店に寄った「だいじょぶだァ饅頭」の餅萬の支店もあります。にぎやかに栄えているという印象ではありませんが、郊外の静かで落ち着いた生活を感じる情景です。

東村山駅西口に発着する路線バスは西武バスで、東村山駅西口~東大和市駅、東村山駅西口~立川営業所、東村山駅西口~立川駅北口の路線があります。また、西口に発着するコミュニティバス(グリーンバス)は東村山駅西口~富士見町四丁目~久米川駅南口行きがあります。客待ちのタクシーも多く、交通には便利な印象があります。

東村山駅は路線バス、コミュニティバス、タクシーなど交通の足が便利
<東村山駅は路線バス、コミュニティバス、タクシーなど交通の足が便利>

現在の東村山駅西口ロータリー
<現在の東村山駅西口ロータリー>

鉄道の連続立体化がすべて完成するまでには、もうすこし時間がかかりそうですが、計画は着実に進んでいるということです。東村山駅の改修はすでに進行しており、このエリアが便利で快適なまちに生まれ変わるのは確実なところ。
高齢化が進む郊外の住宅地の在り方に一石を投じる再開発になることを期待したいと思います。


■A:東村山駅 ■B:天王森保育園 ■C:東村山市民スポーツセンター ■D:餅萬 ■E:オザム ラーレ東村山店 ■F:イトーヨーカドー 東村山店 ■G:東村山郵便局 ■H:トロル ■I:大善院 ■J:オアシス

(取材/ ジモト発見ライター イワタハルユキ)

 

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