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【未来の家づくり】猛暑と豪雨に負けない!気候変動時代を乗り越える住まいの選び方

猛暑と大雨マイホームの購入や建築は、人生における大きな決断の一つです。デザインや間取り、立地など、夢が膨らむ一方で、近年、無視できない新たな検討事項が加わりました。それが「気候変動リスク」です。
毎年のように報道される「観測史上初の猛暑」や「数十年に一度の豪雨」。これらはもはや他人事ではなく、私たちの暮らしと大切な資産である住まいに直接的な影響を及ぼします。
今回は、これからマイホームを検討される皆様へ、気候変動がもたらすリスクと、未来の家族と暮らしを守るための家づくりのポイントについて、簡単ではありますがまとめてみようと思います。


1. 猛暑と大雨がもたらす「住まい」の具体的なリスク

かつては「異常気象」と呼ばれていた気象現象が、今や「日常」となりつつあります。こうした気候の変化は、私たちの住まいにどのような影響を与えるのでしょうか。今回は大きく分けて2つ、猛暑と台風等についてフォーカスしたいと思います。

猛暑の影響:健康・家計・建物への考慮点

  • 健康へのリスク: 室内での熱中症は、小さなお子様や高齢のご家族にとって命に関わる問題です。断熱性能の低い住宅では、エアコンをつけっぱなしにしても室温が下がりにくく、常に危険と隣り合わせになります。
  • 家計へのリスク: 夏の電気代の大半を占めるのがエアコンです。猛暑が続けば光熱費は高騰し、家計を圧迫します。
  • 建物へのリスク: 強烈な紫外線や熱は、外壁や屋根の塗装、シーリング材などの劣化を早めます。メンテナンスサイクルが短くなれば、長期的な修繕コストの増大に繋がります。

大雨・台風への備え:資産と日々の暮らしを守るために

  • 浸水被害: 床上・床下浸水は、建物の土台を傷めるだけでなく、カビの発生による健康被害や、家具・家電の損失など、復旧に多大な時間と費用を要します。
  • 土砂災害: 造成地や山の近くでは、土砂崩れや崖崩れのリスクも考慮しなければなりません。
  • ライフラインの寸断: 停電や断水が起これば、自宅での生活そのものが困難になります。特にオール電化住宅では、停電対策が不可欠です。

まずは、お住まいを検討しているエリアのハザードマップを確認し、どのような災害リスクがあるのかを把握することが、家づくりの第一歩です。


2. 気候変動に備える!これからの家づくりでできること

気候変動のリスクを前に、私たちはただ手をこまねいているだけではありません。住宅の購入や建築の段階で、リスクに「備える」ための対策が可能です。

【適応策】変化する気候に対応する家づくり

気候変動による影響を前提として、被害を最小限に抑えるための工夫です。土地選びに加えて、建物そのものにできる対策はたくさんあります。

【猛暑対策の具体例】

  • 窓の性能を高める: 熱の出入りが最も大きいのは窓です。太陽の熱をカットする「Low-E複層ガラス」や、断熱性の高い「樹脂サッシ」を選ぶだけで、室内の快適性は大きく向上します。
  • 日差しを「入れない」工夫: 夏の強い日差しは室内に入る前にカットするのが最も効果的です。深い軒(のき)や庇(ひさし)を設けたり、窓の外側に「アウターシェード(外付けブラインド)」を取り付けたりします。
  • 風の通り道を設計する: 気持ちの良い風が家の中を通り抜けるように窓の配置を工夫する「通風設計」。エアコンだけに頼らない、パッシブな涼しさをつくります。
  • 屋根で熱をブロックする: 屋根に太陽の熱を反射する「遮熱塗料」を塗ったり、断熱材を厚くしたりすることで、屋根からの熱の侵入を大幅にカットできます。
  • 自然の力を借りる: 夏の日差しを遮る「緑のカーテン」や、地面の温度上昇を抑える庭の「植栽」も、手軽で効果的な対策です。

【水害対策の具体例】

  • 建物の「かさ上げ」: 基礎を通常より高く設計したり、敷地全体を「盛土(もりど)」で高くしたりすることで、床上浸水のリスクを大きく減らせます。
  • 住まいを「防水」する: 建物周りに水の浸入を防ぐ「防水塀」を設置したり、玄関などの開口部に「止水板」を用意したりします。外壁には防水性の高い素材を選び、部材の隙間を埋めるシーリングもしっかり施工することが重要です。
  • 住宅設備を高い位置へ: 浸水時に故障すると生活に大きな支障が出る給湯器やエアコンの室外機、分電盤などを、想定される浸水ラインより高い位置に設置します。
  • 敷地内で水を処理する: 雨水を地中に浸透させる「雨水浸透マス」や、一時的に貯めておく「雨水貯留タンク」を設置することで、周辺への水の流出を抑え、都市型水害(内水氾濫)のリスクを軽減します。

【緩和策】暮らしながら地球環境に貢献する

気候変動の原因である温室効果ガスの排出を、日々の暮らしの中から減らしていく取り組みです。

  • 省エネ住宅の選択: エネルギー消費を抑えるZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のような省エネ性能の高い住宅は、光熱費を削減できるだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献します。住宅ローン控除などの優遇措置を受けられる場合もあります。
  • 長期優良住宅の検討: 長期優良住宅は、長く住み続けられるための高い耐久性や省エネ性を持つ住宅です。これにより、建て替えの頻度が減り、建築時や解体時の環境負荷を低減できます。税制上の優遇措置や住宅ローンの金利優遇なども適用されることがあります。
  • 再生可能エネルギーの導入: 太陽光発電システムを導入すれば、自宅で電気をつくり、使うことができます。余った電気は売電でき、災害による停電時の非常用電源としても活用できます。

3. 新時代の「住まいの品質」とは

新時代の住まいについてこれからの家づくりでは、「品質の高い家」の定義が変化しています。以前は、デザインの美しさや建材の高級感が重視されがちでした。しかし、これからは、気候変動が進む中でも家族が安全・健康・快適に暮らせる性能、大げさに言うと「気候変動への適応力」が、住まいの本質的な品質として問われるようになるかもしれません。

デザインや間取りといった「目に見える価値」だけでなく、猛暑や豪雨に耐えうる「レジリエンス(強靭性)」や、省エネ性能といった「目に見えにくい価値」がますます重要になるでしょう。

将来にわたって家族が安心して快適に暮らせる住まいとはどのようなものか。この記事が、皆さんのマイホーム計画の新たなヒントになれば幸いです。

 

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