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「用途地域」って何?住宅購入前に知っておきたい都市計画の基本

2025/07/31(木) 不動産について広報課

用途地域こんにちは。
「この土地に家って建てられますか?」
広くて建物がない土地を見ると、「ここに家を建てたい!」と思うのは自然なことです。しかし実は、土地の使い方には法律で決まったルールがあり、どんな建物を建てられるかが決められています。
今回は、土地探しや家づくりで絶対に知っておきたい「用途地域」についてわかりやすく解説したいと思います。


1. 用途地域とは?種類と特徴

用途地域とは、都市計画の一環として定められる土地利用のルールです。住宅や店舗、工場などが無秩序に混在してしまうと、住環境や地域の安全性・快適性が損なわれてしまいます。そこで都市計画制度の中では、用途地域を設けることで、エリアごとに建てられる建物の種類や規模をあらかじめ定め、調和の取れた街づくりを目指しています。
用途地域は全部で13種類に分類されており、それぞれの地域ごとに建築の用途や容積率・建ぺい率などが異なります。近年では、都市と農地の共生を図るため、2018年に「田園住居地域」が新設されるなど、社会の変化にあわせて制度の見直しも行われています。
このように、用途地域は都市計画の根幹をなす重要な制度であり、住みやすく機能的なまちをつくるための基本的な仕組みとなっています。

住宅系用途地域(静かな住環境が中心)

  • 第一種低層住居専用地域
    低層住宅のための地域です。小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などの教育施設が建てられます。
  • 第二種低層住居専用地域
    主に低層住宅のための地域です。小中学校のほか、150㎡までの一定の店舗も建設可能です。
  • 第一種中高層住居専用地域
    中高層住宅のための地域です。病院や大学、500㎡までの一定の店舗が建てられます。
  • 第二種中高層住居専用地域
    主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などの教育医療施設のほか、1,500㎡までの一定の店舗や事務所など、必要な利便施設が建てられます。
  • 第一種住居地域
    3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなども建築可能です。
  • 第二種住居地域
    主に住居の環境を守る地域で、店舗や事務所、ホテル、カラオケボックスなども建設可能です。
  • 準住居地域
    道路沿いに自動車関連施設などが立地し、これらと調和した住居環境を保護するための地域です。

商業系用途地域(にぎわい重視)

  • 近隣商業地域
    周辺住民が日用品の買い物をするための地域。住宅や店舗のほか、小規模な工場も建てられます。
  • 商業地域
    銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域。住宅や小規模工場も建設可能です。

工業系用途地域(生産重視)

  • 準工業地域
    主に軽工業の工場やサービス施設が立地する地域。危険性や環境悪化が大きい工場以外はほとんど建設可能です。
  • 工業地域
    どんな工場でも建てられる地域。住宅や店舗は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建設できません。
  • 工業専用地域
    工場のための地域。どんな工場でも建設可能ですが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

田園住居地域(農地と住まいの共存)

  • 田園住居地域(2018年追加)
    2018年に新設された用途地域で、市街化区域内の農地を守りながら住居も可能にした地域です。家庭菜園や農業をしながら暮らしたい方に適しています。

ポイント:
購入を検討している土地や住宅の用途地域を調べることで、そのエリアにどのような建物が建てられるのか、将来的にどのような街並みになる可能性があるのかといった点も、ある程度予測することができます。たとえば、静かな住宅地に見えても、将来的に店舗や中高層の建物が建つ可能性があるエリアも存在します。用途地域の内容を把握することは、将来を見据えた住まい選びにおいて非常に重要なポイントです。

 


2. マイホームに向いている用途地域は?

それぞれの特徴と暮らし方の違いを理解しましょう。住宅の建築に適した用途地域は、主に「住居系用途地域」に分類されます。ただし、一口に住居系といっても、その中には複数の種類があり、それぞれに「建築可能な用途」「周囲のにぎわいの度合い」「建物の高さ制限」などが異なります。自分に合った住まい環境を選ぶためには、その違いをしっかり理解しておくことが大切です。

静かで落ち着いた生活を望むなら

住宅街

  • 第一種低層住居専用地域

    もっとも厳しく用途制限された住宅地です。低層住宅の良好な住環境を守るために、高さ制限(10~12m)が設けられており、マンションや商業施設などは建てられません。

    特徴:
    住宅街としての静けさ・整然さが保たれやすい
    日当たりや風通しに配慮された街並み
    緑のある落ち着いた環境が多い

    建築可能な主な施設:
    戸建住宅、小中学校、保育所、小規模な診療所など

    建築不可なもの:
    コンビニ、飲食店、事務所、マンション(一定規模以上)

  • 第二種低層住居専用地域

    第一種よりも少し規制が緩和され、150㎡以内の小規模な店舗や事務所の併設が可能です。住宅地に昔ながらの八百屋さんや理容室があるような、生活に便利なイメージの地域です。

    特徴:
    第一種よりも利便性がやや高い
    それでも基本は落ち着いた住宅地
    ごく小規模な商業活動も可能

    建築可能な主な施設:
    第一種と同様に戸建住宅、小中学校、保育所、加えて八百屋・理容室など小規模店舗

便利さも求めるなら

  • 第一種中高層住居専用地域

    中高層マンションの建設が可能で、教育・医療・福祉施設などの利用も想定された地域です。比較的駅から近いエリアや幹線道路沿いに多く見られます。

    特徴:
    分譲・賃貸マンションが建ち並ぶ住宅地
    保育園・診療所・福祉施設なども調和しやすい
    静けさと利便性のバランスが良い

    建築可能な主な施設:
    マンション、診療所、保育所、老人福祉施設、図書館など
    (ただし大型店舗やオフィスビルは不可) 

  • 第二種中高層住居専用地域

    第一種よりもさらに用途の幅が広くなり、飲食店や店舗、事務所の建築も一部可能になります。ファミリー向けマンションとともに、日常的な買い物や通院の利便性も高いエリアです。

    特徴:
    住宅と小規模商業施設がバランス良く混在
    徒歩圏内で日常生活が完結しやすい
    駅や大通りに近いエリアに多い

    建築可能な主な施設:
    第一種に加え、飲食店(150㎡以下)、小規模スーパー、事務所など

  • 第一種住居地域

    住居系の中でももっとも用途が広く、住まいと商業施設のバランスが良いエリアです。中規模の店舗・事務所・ホテルなども建てられ、駅周辺の利便性の高い住宅街によく見られます。

    特徴:
    駅近や中心街周辺で多い
    商店や事務所ビルが点在
    分譲マンションや戸建ても混在する街並み

    建築可能な主な施設:
    住宅、病院、飲食店、スーパー、事務所ビル、ホテル(一定条件)

  • 田園住居地域

    市街化区域内にある農地の保全を目的とした、住宅と農業が共存できるエリアです。自宅の敷地内で農業を営むことが可能で、「家庭菜園」ではなく「本格的な農」のある暮らしをしたい人に向いています。
    特徴:
    都市にいながら農業を楽しめる
    一定の面積を保った緑豊かな環境
    市民農園・農家レストランなども可能

    建築可能な主な施設:
    戸建住宅(併設の農業用施設含む)、農産物直売所、農家レストランなど ※用途に応じた制限あり

ポイント:
建てたい家の広さや形は、建ぺい率・容積率・道路幅などにも制限されます。用途地域だけでなくこれらも必ず確認しましょう。

 


3. 用途地域によって建てられない建物がある?

安い広い土地でも、用途地域の制限で理想の建物が建てられない場合があります。

住宅地での制限例

「第一種低層住居専用地域」では、住宅や学校、小規模診療所以外は基本的に禁止です。コンビニ、飲食店、カラオケ、事務所、工場などは建てられません。

逆に自由度が高い地域も

商業地域

  • 商業地域
    百貨店、映画館、飲食店、カラオケ、住宅など多様な建物が可能。
  • 工業地域
    工場だけでなく住宅や店舗も可能(ただし病院や学校は不可)。
  • 工業専用地域
    工場専用。住宅・学校は不可。

4. 市街化調整区域・田園住居地域の特徴と注意点

市街化調整区域とは?

将来的に市街化しない予定の地域で、無秩序な開発を防ぎ農地や自然を守ります。原則として新築住宅や店舗は建てられません。ただし、農家の方が家を建てる、既存建物の建て替え、特別な許可がある場合は例外的に可能です。

ポイント:一般の購入者がすぐに建てるのは難しいため、必ず自治体や不動産会社に確認をおすすめします。

 

田園住居地域とは?

農地利用と住宅を両立できる地域で、2018年に新設。家庭菜園や農業をしながら暮らしたい方に向きます。農地転用や建築には制限と手続きが必要です。

注意点

  • 市街化調整区域は建築不可や許可取得が難しいことが多い
  • 田園住居地域は農業利用が前提のため使い方に注意
  • 安い土地は「なぜ安いのか」を必ず確認すること
  • 広告の細かい注記にも注意し、「安い=お得」とは限らない

5. 用途地域の調べ方(例:所沢市)

多くの自治体が「都市計画図」や「用途地域マップ」をウェブで公開しています。所沢市もオンラインで簡単に用途地域を調べられます。住所や地番を入力して調べられるので、土地購入前に必ず確認しましょう。

チェックすべきポイント

  • 用途地域の種類
  • 市街化区域か市街化調整区域か
  • 建ぺい率・容積率
  • 道路幅員や接道条件(建築基準法に基づく)

相談も大切

用途地域のルールは複雑です。市街化調整区域や田園住居地域は特に専門的な対応が必要なこともあるため、土地探しの際は信頼できる不動産会社や工務店に相談してリスクを避けましょう。


まとめ:用途地域の理解が土地選びの第一歩

マイホームを建てるには土地選びが重要です。しかし、「家が建てられるかどうか」には、一般の方には馴染みのないルールが数多く存在します。用途地域、市街化調整区域、田園住居地域といった区分や、建ぺい率・容積率といった制限について理解することは、理想の住まいづくりを実現する上で有効です。

わからないことはお気軽にご相談ください。所沢エリアの土地選び・家づくりを弊社もしっかりサポートいたします!

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