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カフェギャラリー forma(ファルマ)

主役は手仕事から生まれた作品たち。
折々に違う顔を見せてくれるカフェギャラリーを楽しむ。

forma(ファルマ)は静かな住宅街にあるカフェギャラリー。西武新宿線航空公園駅西口から線路に沿って新所沢駅方面に歩くこと約4分、踏切前の路地を斜めに入ったマンションの1階にあります。お店ではオーナー田邊仁美さんが手づくり作家さんとみずから交渉し、オリジナリティのある作品を集めて展示しています。

優しい緑が置かれたformaのエントランス<優しい緑が置かれたformaのエントランス>

作品を引き立てるシンプルな内装

かつて「学生街の喫茶店」という歌がありましたが、「住宅街のカフェギャラリー」も魅かれるものがあるのではないでしょうか。今回取り上げるカフェギャラリーformaのオープンは2007年4月1日のこと。すでに10年以上の歳月が流れましたが、formaが変わらずに追求してきたポリシーは「手仕事」でした。

「formaの基本は、やはり手仕事ということですね。作家さんの手で作られたものを見つけてきて、何か心に伝わるものを置かせていただいています」と田邊さん。お店はそれぞれの作品に合った展示が出来るよう、とにかくシンプルであることを心がけているそうです。

「formaは作品やディスプレイをはずすと、まっさらな壁と天井と床だけの空間になります。作品に合わせて什器や備品を出したり仕舞ったりしているので、毎回、店内の雰囲気は変わります。それがまた楽しいと思いますね」

訪問した日は、帽子、アクセサリー、インドの手織りストールが並んでいた<訪問した日は、帽子、アクセサリー、インドの手織りストールが並んでいた>

大切なのは自分がいちばん楽しめること

formaをオープンした頃、田邊さんは「遠くからのお客さまに来ていただける店にしたい」と思っていたとのこと。でも今はすこし違う視点も生まれたようです。 「遠くから来ていただける魅力のあるお店にしたいというのは、いまでも基本的に変わりません。ただ、お客さまがお歳を重ねてこられると、楽に行ける場所、歩いて行けるお店ということも大事に思えるようになりました。それはお店が地域のなかで育っていく、育てていただくということにもつながると思います」

そしてformaは、ものに出会うよろこびを体験する場所。だからこそ田辺さんは「自分がいちばん楽しめること」を基本にしています。「お客さまに対しても、年齢に関係なく、私自身が刺激を受けたものをご紹介しています。formaは常連さまだけでなく、ご紹介などの新しいお客さまが来てくださいます。これもやはり私自身が楽しんでいて、それが伝わっていくからではないかと思います」

「ひとつ特徴的なのは、formaのお客さまには自分で手仕事をする人が多いことです。見るだけでなく、自分でも何かしら作られている方が多いように思います。その分、ものを見る目が厳しいといえるかもしれません。だからformaは単なる手づくりということではなく、技術に裏打ちされたものを提供して行かなくてはならないと思っています」

<懐かしい雰囲気の硝子窓、その横の席にはファンが多い><懐かしい雰囲気の硝子窓、その横の席にはファンが多い>

自分の足で歩いて「もの」と出会うよろこび

formaの情報発信はポストカードが主流。訪れたお客さまが住所や氏名を書いてくれると郵送しています。過剰な情報に追われるのもどうか、ということで基本的にインターネットはあまり使っていないとのこと。

「自分の足で探して、お気に入りの作品を見つける。そういう部分がないと対象をさらりと見て通り過ぎてしまうような気がするんですよね。そうなると、ものの見方が何か違うように思うんです。足を運んでわざわざ見に行って、何か好きなものを発見した!というのが大事な気がします」

田邊さんが言うように、自分で動いて発見したよろこびがあれば、ものへの愛着は深まるはず。心に響くものに出会い、長く使い続けることができれば、それはとても幸せなことです。formaはそのお手伝いをしてくれるに違いありません。

<レジ横には近隣のギャラリーや工房などの情報が置かれている><レジ横には近隣のギャラリーや工房などの情報が置かれている>

心からリラックスできるカフェでもある

formaはカフェとしても気軽に利用できます。展示作品を買わないからといって気後れすることはありません。おすすめのブレンドコーヒーは170ccのたっぷりサイズ。ウエッジウッドの大きめのカップで提供されます。使われている珈琲豆は川越「あぶり珈琲」の自家焙煎珈琲豆。すこし深めの焙煎を選択し、味と香りを際立たせています。

<香り高い珈琲でくつろぎのひととき><香り高い珈琲でくつろぎのひととき>

なお、カフェメニューには次のようなものがあります。

◇ブレンドコーヒー 500円
◇アイスコーヒー 550円
◇紅茶 500円
◇アイスティー 550円
◇ハーブティー 500円
◇ケーキ 360円~(入曽の自宅ケーキショップ「ミモ沙」のケーキ、他に焼菓子など)

また、月1回程度、狭山市のカフェ&ギャラリー「月季」(つき)による移動ランチが催されます。不定期ですので興味のある方はformaまでお問い合わせください。

<作品にかこまれてくつろげるカフェ><作品にかこまれてくつろげるカフェ>

所沢というまちからちょっと特別なものを届けたい

次にformaのある所沢というまちについて、どのような印象を持っているか伺ってみました。
「所沢は都心に近いせいか、いろいろなものを見ている人が多いように思います。都会ではないけど地方でもない、独特のポジションですね。どちらにも行けるので選択肢も広がるわけですが、そのなかでformaが魅力のあるものを見つけて紹介できれば楽しいことだと思います。手が届かないようなものは無理にしても、いつでも簡単に手に入るようなものではなく、手を伸ばせば届くほどの、ちょっとだけ特別なものがお届けできればいいなと思っています」

<店内を照らすあかりもほのぼのと><店内を照らすあかりもほのぼのと>

これまで長く続いている理由、そしてこれから。

最近、特に個人経営のお店は長く続けるのが大変な時代といわれています。その厳しい環境のなかで田邊さんはなぜ10年以上もお店を継続して来られたのでしょうか。

「10年以上続けられているのは、自分自身が楽しんでいるからでしょうね。カフェギャラリーというお仕事はもともと大きな利益を期待できるものではないので、経営的には低空飛行があたりまえ。それを踏まえたことがかえって良かったのかもしれません」

「formaの歴史を振り返って思い出すのは3・11の東日本大震災です。あれは大きな出来事でした。電気も止まり、交通も乱れ、大変でしたが、それでもお店を開けることができ、貴重な経験をしました。あの経験をもとにして、お店を続ける覚悟のようなものができたように思います」

「そうそう、お店が長く続いている理由のひとつに、ひとりで来られるお客さまが多いということもあるかもしれません。誰かと一緒に来るのではなく、ひとりで気楽にくつろいでいただく場所。そんなお客さまに支えられて続いている面もあると思います」

取材が終わって珈琲をいただいているとき、カウンターに座って話を聞いていた女性のお客さまが、そっと教えてくれました。

「このお店が長く続いている理由はね、もうひとつあると思うの。それは店主のおもてなし。田邊さんは誰とも分け隔てなく接してくれて、いつも楽しいお話を聞かせてくれるの。だから会いにくる人がいっぱいいるのよ」
ジモト発見ライターも、なるほど!と思ったのでした。これからも「もの」との出会いと心のこもったおもてなしでformaが末永く続いてほしいと思います。


お店のデータ

店名/カフェ ギャラリー forma(ファルマ)
所在地/359-1112 所沢市泉町914-17 千雅堂1F
TEL&FAX/04-2933-6800
営業時間/11:00~17:00
定休日/月曜日(日曜日は不定期オープン)
駐車場/あり

取材・文 イワタハルユキ
写真 イワタハルユキ 

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