ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き ラビング散歩「入曽」駅編(2023夏)

ラビング散歩 期待のまちづくりが進行中(2023夏)

イワタハルユキ

かつてラビング散歩でも取り上げたことのある西武新宿線入曽駅。駅番号はSS25で埼玉県狭山市南入曽に位置します。この入曽駅と駅前地区の総合的な開発が、いよいよ始まりました。

開発に該当する場所は商店や住宅の移転が進み、明るい空地になりつつあります。特に東口の入間小学校跡はイオンの新業態「そよら」が出来るということで各方面から期待されています。

今回のラビング散歩は新しいまちづくりで何が計画されているのか簡単にご紹介し、変わりつつある、または変わることない、入曽駅周辺の要所を歩いてみました。

<現在の入曽駅東口>

<現在の入曽駅東口>

ラビング散歩 入曽駅の駅舎が生まれ変わる

入曽駅の開業は明治28年(1895)で当時は川越鉄道の駅でした。時代に即してホーム延伸や線路複線化などが進められ、昭和48年(1973)に現在の駅舎で運用がはじまりました。現在計画中の新駅舎は橋上駅舎で東西自由通路が完成する予定です。これまで東口と西口は鉄道で分断されていたので渡るのに入場券を買う必要がありましたが、完成後は自由通行で圧倒的に便利になりそうです。

<となりのホームに移動する際のエレベーター>
<となりのホームに移動する際のエレベーター>
現在の駅舎ではホームにトイレあり
<現在の駅舎ではホームにトイレあり>

ラビング散歩 駅前広場が誕生する

これまでの駅舎は改札を出るとすぐに道路や商店に面していました。道幅も非常に狭く、自動車や歩行者の交通事故もときおりありました。駅前広場ができれば歩行や休憩のスペースが確保され、安全な交通環境が実現します。

<東口にある狭山警察署入曽駅前交番>
<東口にある狭山警察署入曽駅前交番>

ラビング散歩 周辺道路が整備される

開発では駅近くの道路が整備され、拡幅や歩道設置などで安全性が高まります。送迎の多い駅へのアプローチがシンプルになり安心して利用できるようになります。

<今も頑張っているレトロな喫茶店>
<今も頑張っているレトロな喫茶店>
入曽は狭山茶の本場でお茶屋さんも多い
<入曽は狭山茶の本場でお茶屋さんも多い>

ラビング散歩 大型商業施設の誕生で賑わいづくり

計画では東口駅前に地域最大級のショッピングモールが誕生するとのこと。これはイオンが運営する新業態「そよら」だそうです。狭山市内で収穫された野菜や果物を直送で取り揃えるとともに、世界中の食品や酒類を扱うようです。また焼きたてベーカリーもあり、明るいテラス席でランチやティータイムが楽しめます。また「そよら」にはセンスのよいブックカフェとキッズパーク、屋上を使ったドライブインシアター、地元と連携したイベントスペースなどがあり、楽しく過ごせそうです。

<東口の広大な敷地が整備される>
<東口の広大な敷地が整備される>
イオン 完成イメージ
<画像出典:イオンリテール株式会社>

ラビング散歩 地域密着の金融機関

入曽駅東口には飯能信用金庫入曽支店、JAいるま野入曽支店があります。地元の農家や商工業者には欠かせない地域密着の金融機関です。

<飯能信用金庫入曽支店>
<飯能信用金庫入曽支店>
<JAいるま野入曽支店>
<JAいるま野入曽支店>

飯能信用金庫の近くでコインパーキングをチェックしたところ、入庫後24時間以内最大600円でした。駅近にしてはリーズナブルです。でも駅前の整備が終わった頃には価格変更しているかもしれません。安くて使いやすい駐車場が増えるといいですね。

<最大24時間600円のコインパーキング>
<最大24時間600円のコインパーキング>

東口周辺を歩いてみると、開発を控えて廃墟のようになった風景がいくつも見られました。とは言っても自然にさびれたわけではなく、あくまでも開発の準備ですから前向きな廃墟と言えるかもしれません。写真のお店も見るからに古家ですが、どことなく開発を待っているような雰囲気がありました。

撤退した店舗
<撤退した店舗>

ラビング散歩 地元の消費を支えるスーパーマーケット

入曽駅の近くには3軒のスーパーマーケットがあります。まず入間野小学校の跡地に近いJA FARMERSです。ここはA・COOPという農協系の店舗。売場には地元の野菜や果物が並び、農産物直売所となっています。もちろん一般的な食品や日用雑貨も販売しています。

<農協系のスーパーマーケット>

<農協系のスーパーマーケット>

ラビング散歩 歴史を見つめるイチョウの樹

JA FARMERSの駐車場の一角に大きなイチョウの樹があります。このイチョウは単なるイチョウではありません。歴史的に貴重で由緒正しい樹木なのです。
ごく簡単に説明すると、このイチョウは大正4年(1915)11月10日に大正天皇の即位を祝い、旧入間村役場の庭に植樹されたものです。旧役場は昭和29年(1954)まで当地にありましたが、長い歴史のなかでイチョウは地元のシンボルとなりました。先の戦争では送り出された300名余の地元民のうち164名の戦死者が出ましたが、そうした歴史をイチョウは見てきました。この樹木を次世代に手渡すべく「入間村役場銀杏保存会」が平成2年(1990)に結成され、今もイチョウは愛され続けています。
<入間村役場の庭に植樹されたイチョウ>
<入間村役場の庭に植樹されたイチョウ>

ラビング散歩 楽しく遊べるレジャーセンター

 新しく完成するスーパーマーケットにもゲームコーナーなどがあるかもしれませんが、やはり入曽と言えば「レジャーセンターあづま園」の存在が欠かせません。ゲーム、卓球、ビリヤード、オートテニス、バッティングセンター、屋内釣り堀などで楽しく遊べます。
<体育館のように見えるあづま園>
<体育館のように見えるあづま園>

ラビング散歩 入間野神社

時代の変化があろうとなかろうと、地域に落ち着いて鎮座するのが神社仏閣というものです。入曽ではまず入間野神社を思い浮かべる方も多いことでしょう。ここの祭神は大山祇命(おおやまづみのみこと)と木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)で創建は建久2年(1191)と伝えられています。なお石造りの御神体には天正6年(1578)と刻印されているそうで、いずれにしても当地の悠久の歴史を感じます。

<入間野神社>
<入間野神社>

ラビング散歩 不老川の護岸工事

入曽駅の北西を流れる不老川は東京都瑞穂町を源流として、入間市、所沢市、狭山市、川越市を経由し、荒川水系の新河岸川に流れ込みます。そこから先は墨田川から東京湾となります。この不老川はこれまで台風や集中豪雨でたびたび氾濫してきました。そこで河川を管理する埼玉県は不老川の浸水対策を立案し、川の拡幅や護岸工事を実施しています。写真は入曽橋界隈の工事風景です。

<不老川の拡幅で氾濫防止をめざす>

<不老川の拡幅で氾濫防止をめざす

<入曽橋で見る不老川の工事風景>

<入曽橋で見る不老川の工事風景>

ラビング散歩 常泉寺観音堂と七曲井

建仁2年(1202)創立との言い伝えが残る常泉寺観音堂。本尊は聖観世音菩薩で、本堂に安置されている「木造聖観世音菩薩坐像」は狭山市指定文化財となっています。また観音堂の裏には七曲井(ななまがりのい)という古代の井戸があり、こちらは埼玉県指定文化財です。七曲井が見える休憩用ベンチも整備されているのでのんびりと歴史に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

<乗泉寺観音堂>
<常泉寺観音堂>
現在の七曲井<現在の七曲井>

ラビング散歩 ディスカウントストア ジェーソン狭山入曽店

入曽にあるスーパーマーケット3軒のなかでも特に「安さ」が目立つお店。業態はディスカウントストアで、ダンボール売りなども人気があるようです。本社は千葉県柏市にあり、全国展開で113店舗(2023年8月現在)を擁しているとのこと。これから入曽駅前が開発されて賑わいを見せたとしても、こういうお店は地元の支持でしっかり残っていくのではないでしょうか

<安さが魅力のディスカウントストア>

<安さが魅力のディスカウントストア>

ラビング散歩 つつじ通りを南へ

マクドナルド入間野神社、常泉寺観音堂、ジェーソンと歩いてきましたが、この道は通称つつじ通りといいます。このまま歩いてゆくと駅から離れていくので、南へ戻ることにします。「入曽」交差点で茶つみ通りを横切り、「水野(月見野)」交差点を右折します。
目印は「マクドナルド所沢狭山街道入曽店」です。ハンバーガーやポテトフライが食べたくなったらここで休憩です。

ラビング散歩 ヤオコーのまわりを観察

マクドナルドから踏切方面に進むとヤオコー入曽店があります。野菜、果物、惣菜、弁当などに定評のある食品系スーパーマーケットです。

<ヤオコー入間店>
<ヤオコー入曽店>

買い物が楽しいヤオコー店内
<買い物が楽しいヤオコー店内>

<ヤオコー前の狭山入曽郵便局>
<ヤオコー前の狭山入曽郵便局>
郵便局の近くで最大24時間250円のコインパーキングを発見!
周囲が畑とはいえこの安さは破格です。スポーツクラブの横から線路沿いに駅まで歩けます。
<コインパーキング24時間250円は格安><コインパーキング24時間250円は格安>
踏切を渡って西口まで歩くと静かな住宅街がひろがります。茶畑なども残り、これが本来の入曽らしい風景かもしれません。もうすぐ始まる駅舎と駅前の整備で、周辺はどのように変貌していくのでしょう。楽しみでもあり、惜しくもあり、という心境です。
<西口は戸建、マンション、茶畑が多い>
<西口は戸建、マンション、茶畑が多い>
<この西口も駅舎整備で激変する予定><この西口も駅舎整備で激変する予定
<西口駅前の名店パスタ・デルフィーノ>
<西口駅前の名店パスタ・デルフィーノ>

入曽駅西口から少し歩くと豊かな自然が見られます。昔からある樹々や草むらは消えてしまうのでしょうか。自然派としてはわずかに残る農家の存在が頼り。たくさんの人が訪れる駅周辺の賑わいも歓迎ですが、地元で心やすらぐ田園風景も楽しみたいと思います。入曽駅周辺のラビング散歩、ぜひ開発終了後に再訪したいと思います。

<花と緑が美しい西口の道>
<花と緑が美しい西口の道>

(取材・文・撮影 イワタハルユキ)

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A:入曽駅東口 B:飯能信用金庫入曽店 C:JAファーマーズ入間店
D:あずま園レジャーセンター E:常泉寺観音堂と七曲井 F:水野交差点(マクドナルド)G:ヤオコー店内
H:西口駅前パスタ・デルフィーノ

 

 

 

■地域情報|ジモト発見ライターが駅周辺を街歩き『ラビング散歩』

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