自家焙煎珈琲 beans shop Kieido

学生時代の夢は「研究者」か「珈琲屋」になること。ふたつの夢を叶えた農学博士が静かな情熱で焼き上げる自家焙煎珈琲豆。お店で味わうネルドリップ珈琲も絶品!

所沢のメインストリート「プロペ通り」の西端から静かな路地に足を踏み入れると、こだわりの自家焙煎珈琲のお店Kieidoがあります。オープンは2016年3月12日。自家焙煎珈琲豆と珈琲関連商品を販売し、店内ではネルドリップの珈琲が味わえます。このKieido、興味深いことにオーナーは農学博士なのです。

 

自家焙煎珈琲を買う人、飲む人、学ぶ人

Kieidoオーナーの寺内英貴(てらうち ひでたか)さんは自家焙煎珈琲豆の販売というコンセプトでお店を起ち上げました。ところがお店でネルドリップの上質な珈琲を提供しているうちに、珈琲を飲みに来るお客さまが増え、今はカフェの雰囲気も。おいしいと感じたお客さまの声がクチコミで広がり、現在は豆を買う人、珈琲を飲んで豆を買う人、珈琲だけ飲みに来る人、それぞれ1:1:1くらいの割合とのこと。お客さまのリピート率は高く、何度も訪れる方が多いそうです。


<ホワイトとブラウンで統一された落ち着けるカウンター席>

Kieidoは多くの人でにぎわうプロペ通りからほど近い、静かな路地の立地。お店はカウンター5席、テーブル2席の計7席。Kieidoは寺内さんがひとりで切り盛りしているので、ちょうどよい規模なのかもしれません。

焙煎はガスを使う小型のロースターでていねいに。開店前や閉店後に焙煎する寺内さんは「珈琲豆の顔色を見て、声を聞いて、あうんの呼吸で焼き上げます」と真剣な表情でした。焙煎した豆はすぐには味と香りが出ないので、3~7日ほど経ってから飲むのがよいそうです。


<使いなれた小型のロースターでていねいに焙煎>

<ネルドリップで透明感ある珈琲を淹れる寺内さん>

Kieidoでは珈琲豆を買われた方に、ご自宅で手軽に淹れられるペーパードリップをすすめているとのこと。お店が混んでいないときであれば、コーヒーのおいしい淹れ方もレクチャーしてくれます。カウンター越しに珈琲を淹れる手順を見ていると、とても勉強になります。たとえばブレンド1杯の注文で、水が珈琲に姿を変えるまでの全工程を見せてもらうことができます。

寺内さんが追求するのは、まろやかで、やさしく、透明感のある珈琲。品質にこだわった自家焙煎の珈琲豆を使い、お店ではネルドリップで抽出して提供しています。

 

寺内さんと珈琲のつながり

寺内さんと珈琲の出会いについてお聞きしてみました。

「小学校4年のとき、自宅の台所に仕舞われていたサイフォンを見つけ、実験器具みたいでかっこいいなあと思い、それに魅かれて珈琲を淹れはじめたのが最初ですね。高校まではサイフォンで珈琲を淹れて飲んでいました。しかし大学のときに自家焙煎珈琲やいろいろな抽出方法を知り、珈琲のおいしさに目覚めました。その頃ネルドリップに出会い、今でもネルドリップ以上の珈琲抽出法は見つかっていないと感じています」

少年時代から研究者になるのが夢だった寺内さん。大学で勉強しながら、いつも珈琲を楽しんでいたそうです。卒業を前にして、研究者になるか、珈琲のお店をやるか迷いましたが、学費を出してくれた親に「大学を出たら珈琲屋をやります」とは言えず研究者の道へ。ある農業系の企業に勤めますが、さらに研究者として学問を究めたいと考え、大学院へ戻ります。博士号を取って世界に向けて論文を発表するなど研究活動に埋没しました。しかし、ある頃、それまでテーマにしていた大豆のウイルスに関する研究が一段落。そのとき、寺内さんは珈琲を思い起こします。

その後、寺内さんは研究生活から離れ、バイオ・製薬関連の企業に勤務しながら、珈琲で起業する準備をはじめました。研究者時代は1日3時間寝るか寝ないかの日々で女性と付き合う暇もなかったとのこと。しかし珈琲店をやると決めた頃に、それでもよいと理解してくれる女性と結婚。今は小学生のお子さまがいらっしゃいます。

そして2016年のKieido開店。農学博士がオーナーの、まさにひと味違う珈琲店の登場です。寺内さんにとっては趣味イコール仕事。珈琲のことで何時間働いても苦にならないし、むしろ楽しいと話してくれました。

 

Kieidoおすすめの珈琲

店内で珈琲を飲まれる方には、3種類のブレンド(1杯300円)がおすすめ。本格的なネルドリップの珈琲が飲めるお店は滅多にありません。それがこのリーズナブルなお値段で味わえるのは、珈琲好きにとってとても幸せなことだと思います。なお、お店にあるすべての豆が実は裏メニュー的に飲ませてもらえるそうですので、ご希望の方はそっと注文してみてはいかがでしょうか。
<カウンターで至福のひととき>

珈琲豆を購入する方には4種類のブレンドがおすすめです。なかでも次の珈琲に注目。飲みやすくコストパフォーマンスに優れたKieidoブレンド(200g 1,000円)、プレゼントなどに喜ばれる上質な味わいの「スペシャルKieidoブレンド44(200g 1,650円)。ちなみに44とはアラビカ種という珈琲の染色体数とのこと。農学博士らしい遊び心のあるネーミングです。その他には自家焙煎では珍しい「カフェインレス・コロンビア(200g 1,200円)もあります。


<店頭にはいろいろな種類の生豆が並ぶ>

<珈琲関連の商品も取り揃え>

 

ふたつの夢が叶った、その先は

 寺内さんにこれからの夢を伺いました。

「若い頃に思い描いていた、研究者になる、珈琲のお店を持つ、というふたつの夢は叶いました。これからは私がどうこうではなく、お客さまにいかに珈琲の世界が広いかを知っていただきたいと思います。

珈琲は単なる黒くて苦い液体ではありません。欠点豆を取り除き、ていねいに焼き上げ、正しくドリップすれば、まろやかで澄んだ味のおいしい珈琲が出来上がります。飲みはじめから温度の変化による味の変化も楽しみながら、ブレンドやストレートなどを幅広く味わっていただきたいですね」

これからはお客さまが本当の珈琲の味を楽しむ手助けをしていきたい、と語る寺内さん。所沢を訪れたときは、ぜひ立ち寄ってみたいKieidoです。

 

お店のデータ

店名/自家焙煎珈琲豆 beans shop Kieido
所在地/〒359-1123 所沢市日吉町7-6
TEL/FAX 04-2925-7757
営業時間/11:00~19:00
定休日/第2・第4月曜日
駐車場/近くにコインパーキングあり
メールアドレス/info@beansshopkieido.com
ホームページ/http://beansshopkieido.com
フェイスブック/@beansshop.kieido

※記事中の価格はすべて税込みです。

取材・文・写真 イワタハルユキジモト発見ライター

 

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