うずら屋(所沢市宮本町) <前編>

心やすらぐカフェで、うずらのことを知る。
静かな住宅街にある「うずら専門店」。

所沢で「うずら屋」の名はよく知られています。それもそのはず、2018年に10周年を迎え、現在11年目という長い歴史があるからです。「うずら屋」はカフェとショップを兼ねたうずらの専門店。お店には不思議なやすらぎと、凛とした存在感が漂っています。静かな住宅街で黙々とうずらを探求してきた10年余の重み。今回は「うずら屋」を運営する株式会社モトキ代表取締役の本木裕一朗さんにお話を伺いました。

<南フランス風のうずら屋><南フランス風のうずら屋>

 

住宅街の「うずら専門店」

西武新宿線航空公園駅西口から7分ほど歩いた住宅街に「うずら屋」はあります。近くには所沢市立明峰小学校があり、お店は路地に入った目立たないところ。すこし分かりにくいので地図でよく確認してから出掛けると安心です。

「うずら屋」はカフェとしてうずらの肉や卵を使ったメニューを提供するとともに、ショップでうずら関連商品を販売しています。特筆したいのは、他のお店にないものを扱っていること。そして所沢の特産品として所沢みやげにできることです。

「うずら屋」には保存料や添加物を使いたくないというこだわりがあります。商品はすべて自社で製造していて、冷凍の品が多いのが特長。これは狭いキッチンの中でお客さまに早く提供できるということもありますが、冷凍なら保存料を使わずに賞味期限を延ばせるため、安全なうえに食べ物を粗末に捨てずに済むという利点があるそうです。うずらの肉や卵で良質なタンパク質を取り、心も体も元気になってほしい。それが本木社長のポリシーなのです。

<店内では多種多彩なうずら製品が買える><店内では多種多彩なうずら製品が買える>

なお、「うずら屋」では日本原産のうずらだけでなく、ヨーロッパ原産の大きなうずらを輸入して飼育しています。このうずらを日本に持ち込んだきっかけは「うずらの卵 アレルギーに効く!?」というフランスとコラボした製薬会社の新聞記事でした。それを読んだ本木社長はフランス大使館をはじめ多くの関係先に問い合わせ、何件かのレスポンスを得ることができたといいます。そしてみずからフランスに飛びました。

「フランスには大きなうずらを見に行ったのですが、卵を見たら、これも大きい。鶏卵の半分ほどの大きさで、ちょうど食べやすいサイズだし、栄養価も高い。これだ!と思いましたね」と本木社長。
余談ですが、本木社長がフランスに飛んで農家を訪ねた日に9・11の同時多発テロが発生したとのこと。翌日にはフランスでも厳戒態勢が敷かれるなど、緊張する中での視察になりました。

「当時、日本の『畜産』というと、とても泥臭いイメージでした。でもフランスでは特別に無菌とかいうわけではないものの、とてもクリーンで衛生的な印象を受けました。作業者もセーターを着て仕事をしていておしゃれなんです。『お洒落な農場』・・・私は日本でもフランス流でこの大きなうずらを飼育してみたいと思い、さっそくうずらの卵を輸入することにしました」

ところが卵が到着すると検疫所から連絡があり、菌の上陸を阻止するためすべて焼却処分すると通告されます。本木社長は必死に交渉し、ようやく「検疫所で卵を孵化させて菌が検出されなければ特例として輸入を認める」ということになりました。そこで本木社長は孵卵器(卵を温めて孵化させる器具)をレンタルして検疫所に通い詰め、その結果ヒナが孵って、菌も検出されず、輸入が許可されたとのことです。

「現在、うずら屋の飼育場は埼玉県日高市にあり、日本のうずらを約20万羽、フランスのうずらを約4千羽飼育しています。苦労して輸入したフランス生まれの大きなうずらは『うずら屋』で料理に使うだけでなく、各地のレストランなどに直売して好評をいただいています」と本木社長。
ちなみにうずらはオスが食肉専用、メスは卵を1年くらい産んでから食肉になるそうです。

<うずら屋の飼育場は緑と清流にかこまれている><うずら屋の飼育場は緑と清流にかこまれている>

そして、うずらは捨てるところなく活用できる鳥。肉や卵が食用になるのはもちろんのこと、フンも栄養価が高く、肥料の原料になるそうです。また、うずらをペットとして飼う人もいて、彼らのことを「ウズラー」と呼ぶとか。「うずら屋」にもうずらを子どものように可愛がっているお客さまが、たまにケージに入れて連れてくることがあるそうです。ひよこのうちから飼っていると、うずらも飼い主を覚え、可愛さで情が移るそうで、そうなると肉はおろか、卵さえも食べられないようです。

とはいえ一般的にうずらは立派な食材。ここでは「うずら屋」で提供されているメニューの中から、おすすめのアイテムをご紹介したいと思います。

 

「うずら屋」のカフェで味わえるおすすめメニュー

フランスうずらの贅沢オムライス

フランスうずらの贅沢オムライス
スープ・サラダ付き
1,000円

うずらの卵をふんだんに使ったふわふわトロトロのオムライス。ビタミン豊富な押麦をまぜたバターライスにはうずらのお肉も入っています。「うずら屋」と言えば「オムライス!」と反射的に答えてしまうほどの人気メニューです。

うずらナーラ

うずらナーラ
単品 800円
スープ付き 1,000円

フランスうずらの卵黄で作ったコクのあるカルボナーラ。麺はパスタではなく、うずらのたまごを練り込んだ中華麺を使っています。

ふわふわシフォンケーキ

ふわふわシフォンケーキ
ハチミツ・キャラメル味
400円

フランスうずらの卵を使った柔らかなシフォンケーキ。コーヒーや紅茶によく合います。

メニューは時期によって替わるので、1年を通じてバリエーションが楽しめます。うずら料理の楽しさと奥深さを知るためにも、いろいろなメニューを味わってみたいですね。またうずらの卵の栄養価は同量で換算するとニワトリの卵より勝るとされています。日常的に食べることで体づくりや健康づくりに活用してみてはいかがでしょうか。

(後編に続く)

 

【お店のデータ】

店  名/うずら屋
所 在 地/所沢市宮本町2-5-8
電  話/04-2935-3000
営業時間/月:11:00~16:00(L.O.15:00)・火~土、祝日、祝前日:11:00~18:00(L.O.17:00)
定 休 日/日曜日
駐 車 場/あり(5台)
公式ホームページ/ http://uzuraya.com/
Instagram/ uzuraya_cafe

文/イワタハルユキ
取材・撮影/イワタハルユキ 前田麻衣子(山口企画設計)
料理写真提供/うずら屋

 

トピックス|すべての記事

ページトップへ