LIMENAS COFFEE (リメナスコーヒー)

フレーバリスト(調香師)として香りを探求してきたオーナーが
理想のスペシャルティコーヒーに取り組む

リメナスコーヒーは2019年4月に下記に移転しました。
所沢市日吉町6-7

住宅街の路地を歩いていて、面白そうなお店を見つけることがあります。そこでは例えば手づくりの楽しさや、好きなものへのこだわりや、おいしさを追求する真摯な姿が見えたりします。
リメナスコーヒーもそんなお店。自家焙煎のスペシャルティコーヒーを販売するお店でありながら、店内のかわいいカウンターで、ほっと一息コーヒーブレイクを楽しむ人もちらほら。そしてリメナスコーヒーには理想の味と香りを究めようとする情熱がありました。

明るいイエローがランドマークのリメナスコーヒー
<明るいイエローがランドマークのリメナスコーヒー>

 

香りに関する知識と経験を生かしてコーヒーに向き合う

2016年9月、所沢市寿町に自家焙煎コーヒーのお店LIMENAS COFFEE(リメナスコーヒー)がオープンしました。オーナーは元明健二(がんみょう けんじ)さん。以前は食品会社の研究所に勤務し、フレーバリスト(調香師)として香りの研究や商品開発に従事していたとのこと。現在は香りのプロフェッショナルとしてコーヒーの自家焙煎に取り組んでいます。

オーナーの元明健二さん
<オーナーの元明健二さん>

店名のLIMENAS(リメナス)というネーミングは、英語のLIMEN(ライメン) とNASAL(ネーザル)を組み合わせた造語だそうです。LIMENは訳すと閾値(いきち)のことで、何らかの因子が生体の反応を引き起こすのに必要な値のことをいいます。そしてNASALは感覚器官の鼻から得る感覚を指すとのこと。すこし難しいですが、リメナスコーヒーのめざすところが示されている気がします。検証された閾値をもとに理想の香りを創造するといったところでしょうか。

元明さんは言います。「リメナスという社名は、すべての人間が持つ、食べ物の微小な香りの変化を認知する能力への敬意を込めた造語です。生物として進化する過程で、生きるために必要な栄養素を取り込むのに判断する食べ物の味や匂いへの反応は無意識に起こります。これは種を残すために必要な行動であり、何気なく食べている食品の選択がDNAにコントロールされています。子どもと青年期と老年期で生体が要求する栄養成分が変化するので嗜好が変化するのは当然です。コーヒーも1000近い香気物質でバランスが成り立っていますが、わずかなバランスの違いを総合的にですが皆さんが判別するのに感嘆します。コーヒー会社の焙煎責任者としてコーヒー生豆が持つ可能性を最大限引き出し、コーヒーの香りの世界を追求し、おいしいコーヒーを皆さんにお届けするためにこの仕事を始めました」

かわいいカウンターからは向かいの保育園が見える
<かわいいカウンターからは向かいの保育園が見える> 

10代の頃からコーヒーが好きだったという元明さん。研究者時代にコーヒーを対象とする仕事に出会い、焙煎の妙に興味を持ったといいます。その後、コーヒーへの関心が高まり、やがて独立開業する決意をします。そこでまず購入したのが高品質な焙煎に定評のあるディードリッヒ社の焙煎機。かなり高価な製品ですが、これを所沢市北有楽町にある焙煎アトリエに設置。焙煎時に出る煙などでご近所に気を使いましたが、白金触媒で匂いと煙を取り除くアフターバーナーを設置することで解決しました。

しかしその後、勤務先から引き留められて4年ほど独立を延期。その間に SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)に参加し、講習会や競技会などで知識や技術を深めました。ちなみに競技会では2013年JCRC予選で全国第3位、試合で4位を獲得したこともあるそうです。

そして、いよいよ独立が近づき、元明さんは店舗の物件探しをはじめました。コーヒーのような嗜好品に理解のある地域で、ある程度人通りのある場所を探していたところ、現在のお店に出会います。ここは以前、幼児を対象とした英語教室だったそうで、明るくポップな雰囲気。手づくりの造作やカラフルなデザインが気に入り、ほとんどリフォームせずに入居しました。 

木の温もりを感じる明るい店内
<木の温もりを感じる明るい店内>

 リメナスコーヒーのコーヒー豆は厳選した生豆を仕入れ、独自の発想と技術で焙煎しています。コーヒー豆の品質管理はもちろんのこと、使用する機材も優れたものを厳選。先にふれたディードリッヒ社の焙煎機をはじめ、バラッツァ社のグラインダー(刃が素晴らしく、クリーンなコーヒーの風味がよく出る)、そして本格的な浄水器も導入しています。

この日はMa Maison Endo(狭山市)のパウンドケーキもお店に並んでいました
<この日はMa Maison Endo(狭山市)のパウンドケーキもお店に並んでいました>

 

おすすめのコーヒー HOUSE BLENDとPANAMA GEISHA

リメナスコーヒーの自家焙煎13種類のラインナップ(ほうじ茶を含む)のなかから、おすすめのアイテムを聞いてみました。ここでは一般的に飲みやすいものと、ちょっとマニアックなものを1つずつ挙げていただきました。 

HOUSE BLEND(ハウスブレンド)
200g 1,100円(税込)

元明さんが豆の配合を決めているブレンドコーヒーのひとつ。ブレンド各種のなかでも、苦味と酸味が少ないブレンドと、優しい焙煎の味わいで、コーヒーが苦手な人でも飲みやすい自信作です。味わいの表現としてはナッツ、グレープフルーツ、チョコレート、カカオ、ハーブなどのイメージ。お値段もリーズナブルです。 

PANAMA GEISHA(パナマ ゲイシャ)
100g 3,000円(税込)

世界的に人気を集めているパナマ産の高級豆。コーヒーとは思えないトロピカルな香りに特徴があり、その香りを愛好家は愛でます。普通のコーヒーの3倍くらい薄めにドリップして飲むと紅茶のニュアンスも出てきて、ゲイシャの香りが開きます。高い豆ですが実はコストパフォーマンスの良い豆です。味わいの表現はトロピカルフルーツ、メロン、ドライフルーツ、紅茶などのニュアンスです。

今回は、このHOUSE BLENDとPANAMA GEISHAを実際に抽出していただきました。

ディアムローストのPANAMA GEISHA(左)とハイローストのHOUSE BLEND(右)
<ミディアムローストのPANAMA GEISHA(左)とハイローストのHOUSE BLEND(右)>

挽いた豆をドリッパーのペーパーフィルターにセット。ペーパーにはあらかじめ湯を流し、紙特有の匂いを抜くのがリメナス流。
<挽いた豆をドリッパーのペーパーフィルターにセット。ペーパーにはあらかじめ湯を流し、紙特有の匂いを抜くのがリメナス流>

抽出中。良い豆は粉がよく膨らみます。
<抽出中。良い豆は粉がよく膨らみます>

 

出来上がり。ふくよかな香りが周囲に漂います。
<出来上がり。ふくよかな香りが周囲に漂います>

画像で見ると違いが分かりにくいかもしれませんが、ミディアムローストのPANAMA GEISHAはすこし明るめのブラウン、ハイローストのHOUSE BLENDはやや深めのブラウンで美しい仕上がり。早速、リメナスコーヒーおすすめの2点を飲ませていただきました。

PANAMA GEISHAは味も香りも独特で、優しい苦味と酸味のバランスとともに、後味にかすかな甘い感触が残りました。そして森の中でリラックスしているような香りを堪能できました。元明さんはPANAMA GEISHAのドリッパーにさらに湯を落とし、どんどん薄くしてくれたのですが、不思議なことに薄くして味が軽くなっても、香りだけはしっかり立っているのです。これがPANAMA GEISHAの魅力なのかもしれないと思いました。最近GEISHA種が世界のコーヒー愛好家に人気で、需要に供給が追い付かず、高値になっているとのこと。おいしいから高いのか、めずらしいから高いのか、そのあたりは微妙なところ。しかしリメナスコーヒーで飲んだPANAMA GEISHAは素直に自然な味と香りに感銘することができました。

そして、もうひとつのおすすめがHOUSE BLENDです。先に繊細なPANAMA GEISHAを飲んでしまったせいもあるかもしれませんが、しっかりとした存在感を感じました。コーヒーの苦味、酸味、甘味が調和し、落ち着いた香りを漂わせます。このブレンドはコロンビアやグァテマラなどを中心に元明さんが配合を決めているとのこと。誰がどんなシーンで飲んでも、その風景に溶け込めるコーヒーに思えます。コーヒーの王道というべきか、入門者から愛好家まで幅広く飲めるコーヒーだと感じました。

リメナスコーヒーには、もうひとつおすすめしておきたいアイテムがあります。それは“ほうじ茶”です。「私は宮崎の出身なのですが、1960年代の九州の農家ではお茶は自分で作るものだという意識がありました。摘んだ茶葉を焙じる香り、これが子どもの頃の記憶と重なって、とても温かい気持ちになるんですよ。ほうじ茶はコーヒーと同じように焙煎するものですから、リメナスコーヒーで扱うのは自然なことですし、今では多くの方に愛飲されています」と元明さん。ほうじ茶は奈良と静岡の茶葉を使用し、焙煎のレベルを変えた茶葉をブレンド指定しているとのこと。この香りの世界も、また格別に思えました。 

 

おすすめの器具 クレバーコーヒードリッパー 

リメナスコーヒーではコーヒー豆だけでなく関連器具も販売しています。ここでおすすめしたいのはクレバーコーヒードリッパー。ペーパーと粉をセットし、湯を一気に注ぎ、そのドリッパーをサーバーに置くと底の穴が開いて簡単に抽出できるというもの。簡単なだけでなく、なぜかおいしくコーヒーが淹れられる注目のドリッパーです。興味のある方、お試しあれ。

クレバーコーヒードリッパー
Sサイズ 1,950円(税込)
Lサイズ 2,480円(税込)

※クレバーコーヒードリッパーは2017年末に価格改定が予定されているとのことですので詳しくはお店にお問合せください。

おすすめの器具 クレバーコーヒードリッパー

 

地域でスペシャルティコーヒーを地道に追求していきたい

日々の暮らしのなかで「おいしいコーヒーを飲みたい!」と思うのはよくあること。目の前にあるのが本格的なスペシャルティコーヒーなら言うことなしです。とはいうものの、実はスペシャルティコーヒーの定義はあいまいで、各国のコーヒー協会などがそれぞれ指針を出しているような状態です。ごく簡単にまとめると「コーヒーの木の栽培からカップで飲むところまで、すべての過程で品質が管理され、飲んだときに味と香りが高く評価されるコーヒー」といったイメージのようです。

「本当のスペシャルティコーヒーとは何か、その味、その香り、その魅力を地域の人たちに知ってほしいと思っています。コーヒーにも価格重視、味本位などいろいろな立場があります。リメナスコーヒーの自家焙煎豆はリーズナブルでありながら、グレードでは決して見劣りしないものと自負しています。私たちはボランティアのような気持ちでスペシャルティコーヒーを追求し、地道に活動して行きたいと考えています」と元明さん。

リメナスコーヒーは店舗での販売のみならず、ネット販売、イベント等への出店、卸など多彩なルートでコーヒーを流通させています。お店で試飲をさせてもらってお気に入りのコーヒーを見つけるもよし、気軽にインターネットで買うもよし。それぞれがそれぞれのかたちでスペシャルティコーヒーを身近なものにできるはず。おいしいコーヒーのさらなる広がりに期待が膨らみます。

 

棚に並ぶブレンド、ストレート、ほうじ茶。あなたが選ぶのはどれ?
<棚に並ぶブレンド、ストレート、ほうじ茶。あなたが選ぶのはどれ?>

 

お店のデータ

LIMENAS COFFEE
所在地/所沢市日吉町6-7 ※2019年4月移転
TEL/04-2009-1028
営業時間/11:00~18:00
定休日/木曜日
駐車場/あり(2台)
Homepage http://www.limenascoffee.com/
Facebook https://www.facebook.com/limenascoffee/

 

 

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