ぱん屋 麦兵衛

2009年のオープン以来めざしているのは、地元産の原材料を使った個性的なパンづくり

小手指駅北口からハナミズキの並木道を北に向かい、小手指一丁目の交差点を左に折れ、すこし歩くと右側に「ぱん」の幕が見えてきます。ここが今回ご紹介するお店、「ぱん屋 麦兵衛」。小さなお店ですが、おいしいと評判です。店主の阿部淳さんにお話を伺いました。

個性的なパンが勢ぞろい<個性的なパンが勢ぞろい>

 

地元のよい素材を使い、シンプルにそれを生かす

小手指周辺の口コミでおいしいという評判が聞こえてくる「パン屋 麦兵衛」。まず阿部さんにおいしさの秘訣を聞いてみました。
「そもそも論になってしまいますが、おいしさというのは各自の好みの問題だと思っています。ですからおいしいパンをつくろうとすると、その掘り下げ方が難しいですね。私が考えているのは、使っている素材のよさを引き出してパンに生かすことです。地元のよい原材料を使い、そのよさを生かしながら、シンプルにパンとして仕上げることを心掛けています」

大きな「ぱん」の幕が目印。麦兵衛の落ち着いた店構え<大きな「ぱん」の幕が目印。麦兵衛の落ち着いた店構え>

「麦兵衛」のパンはライ麦からつくった自家製の酵母を使っているとのこと。また、具に使う野菜などはおおむね埼玉県産のものを使っているそうです。なるべく自家製や地元の素材を使いたいという阿部さんの熱意が感じられます。

店内には焼きたてのパンが並ぶ<店内には焼きたてのパンが並ぶ>

小麦にも地元産へのこだわりがあります。小麦に含まれるグルテンという成分には2種類あり、うどんやだんごに向いたものと、パンに向いたものがあるとのこと。埼玉県は昔からうどんやだんごが特産品だったため、収穫される小麦もモチモチとした食感の品種がほとんどだったそうです。しかし、最近はよくふくらむパンづくりに適したものも生産量が増えてきて、「麦兵衛」で使う小麦粉も全体の半分くらいは埼玉県産のものになっています。

サンドイッチや調理パンの具も、地元のものが多く使われています。特に野菜は地場産の新鮮でみずみずしいものばかり。調味料はあまり使わずマヨネーズ程度で、ケチャップは試行錯誤中だとのこと。素材へのこだわりは細かいところまで及んでいるようです。

阿部さんは言います。「よいものを使うと、どうしても値段が上がります。理想を追求するあまり高くなってしまい、お客さまに買ってもらえないのでは意味がありません。その辺のさじ加減が難しいですが、商品としてお客さまに納得してもらえるもの、喜んでもらえる価値のあるものができればと思って日々パンをつくっています」

 

店主おすすめのパンはこれ!

阿部さんにおすすめのパンを3つ挙げていただきました。もちろん他にもたくさんのパンがありますが、「麦兵衛」においでになったら、まずこれを食べてみてはいかがでしょうか。

さやまっちゃメロンパン 170円(税別)
メロンパンの皮生地に狭山の抹茶を練り込んである風味豊かなメロンパンです。さやまっちゃメロンパン

さといものコロッケサンド 320円(税別)
所沢周辺はさといもの名産地。地元のさといもを使ったコロッケがパンとよく合います。さといものコロッケサンド

あんこ棒 170円(税別)
フランスパンにあんこを詰めたオリジナルで、開店時から変わらない定番商品です。あんこ棒

「麦兵衛」にはサンドイッチや調理パンも豊富に用意されています。春になると「桜のあんぱん」が登場するなど、シーズン限定のパンも注目です。これらは来てみてのお楽しみ。
ただし、ひとつだけアドバイスを。麦兵衛のパンは夕方には売り切れてしまうことが多く、早めのご来店が安心です。営業時間は19時までですが、15時以降は品薄になることが多く、できれば14時くらいまでにご来店になることをおすすめします。

 

地元に根を張る個性的なパン屋をめざす

「麦兵衛」のオープンは2009年。阿部さんは以前イタリアンレストランで働き、主にナポリピッツアを修業していたそうです。そして興味を持った生地の勉強をするためにベーカリーで修業したとのこと。独立を決意したときは自然な流れでパン屋を選択したといいます。

 「麦兵衛」を開店するのに小手指を選んだ理由は、阿部さんの地元が狭山市なので周辺のエリアで物件を探していたから。商売をするなら地元という思いがあり、都心や繁華街に出店してパン屋同士の競争になってしまうのもつまらないなと考えたそうです。地元であればそこで頑張ることが地域への恩返しになるという気持ちもありました。なじんだ地元であまり一般的ではないパンをつくったほうがいいかなと思ったそうです。

 「小手指は住宅やマンションが多く、麦兵衛の近くには幼稚園もあり、スーパーや専門店も点在しています。けっこう人の流れがあるので、商売には向いていると思いました」と阿部さん。「ただ新所沢などと比べると店舗物件が少ないのでお店が少なく、いまひとつ盛り上がりに欠ける気がします。飲食店が育ちにくいという声も聞きますね」

 「このあたりに住んでいる人は東京に出る機会が多く、向こうで消費をしてきてしまうという話を聞くことがあります。お客さまと話していても東京のパン屋さんの名前が出てくることがあります。私たちのようなパン屋も都心のお店と比べられてしまうので、そういう意味ではなかなか厳しいものがありますね。地元のお店としてがんばっていかねばならないと思っています」

締めくくりに、今後の抱負とみなさんへのメッセージを伺いました。

麦兵衛

「抱負としては、オープンした頃から思っていることですが、麦兵衛は地元の食材を使って、おいしさを突き詰めていきたいと考えています。あくまでも地元で。そして今はこのお店のことだけを考えていますが、もし将来、地元のどこかで出店の機会があればチャレンジするかもしれません」

「みなさんへのメッセージとしては、麦兵衛では他のパン屋さんとは違う個性的なパンが見つかると思います。足を運んでいただいて、食べていただいて、地元のよいものを押し上げていきたいと思っていますので、よろしくお願いします」

 

お店のデータ 

ぱん屋 麦兵衛
所在地/〒359-1141 所沢市小手指町1-27-16 エスパスィオ101
TEL/04-2902-6455
営業時間/8:30〜19:00
定休日/日曜
駐車場/1台あり
Facebook/「パン屋 麦兵衛」で検索

取材・記事/イワタハルユキジモト発見ライター

 

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